会報「ゆきしろ」67号
(平成25年3月発行)

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     第67号
(発行者)
 社会福祉法人 富山県視覚障害者協会
 〒930-0077
  富山市磯部町3丁目8番8号
 電話 (076)425-6761
  Fax (076)425-9087
 Eメール:bcb05647@nifty.com
 Homepage:http://www.toyama-ssk.com
(発行責任者)
 会長  中西 美雄


 上の題字は 鶴木大壽 氏によるものです。

【ゆきしろ(雪代)の意味】

 雪国にあって、大地が春の雪原と接する部分で静かに融けはじめ、しずくとなり、やがてかすかな流れをつくり、それが集まって春のはじめの雪どけ水となって音をたてて大河に注ぐ様を、古くから俳句における春の季語として「雪代(ユキシロ)」とよばれています。
 当協会が、このしずくが集まって大河をつくるように大きく発展していくよう、願いを込めて命名いたしました。

   【ゆきしろ67号 目次】

《巻頭言》
◆社会参加を阻害しているものは?       会長 中西美雄

《大会参加報告》
◆第58回 全国盲女性研修大会・大阪市大会  女性部長 柳田信子
◆第9回 全国視覚障害者卓球大会      射水支部 本江とみ子
◆第58回 全国盲青年研修大会         青年部 定塚剛成
◆第21回 北信越サウンドテーブルテニス大会 富山支部 中田実希
《事業報告》
◆平成24年度 ボランティアと利用者交流会   施設部 本江とみ子
◆第38回 富山県視覚障害者球技大会      厚生部 舟川由紀子
◆平成24年度 家族激励大会及び山岳歩行訓練 厚生部長 白口 務
◆第36回 視覚障害者文化祭・福祉機器展   文化部長 上坂敏彦
◆第61回点字競技会・第13回パソコン競技会  文化部 高島ヒサ子
◆平成24年度体験学習 タンデムで広がる世界 富山支部 藤井清隆
◆平成24年度 三療研修会          施設部長 安田庄内
◆平成24年度更生相談会 要望に対する県の回答 副会長 山内正一
◆三療部会報告             三療部会長 堀 惠一
《報告事項》
◆障害者虐待防止法             副会長 塘添誠次
◆東北視察研修会              副会長 塘添誠次
《みんなの広場》
◆ボランティアと利用者交流会に参加して  富山支部 小林 幸
◆富山三つ星山の会より          事務局長 桐井英志
《事務局から》 消息、受賞
◆時事暦
◆平成25年度 主な行事予定
《編集後記》   文化部長 上坂敏彦

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《巻頭言》
◆ 社会参加を阻害しているものは?
              会長 中西美雄(なかにしよしお)
 「ばら色の人生、高福祉の社会」、「自立支援法を廃止し障害者総合支援法の制定」を約束していた民主党政権が12月16日の衆議院選挙において大敗し、再び自民党政権が復帰しました。
 安倍総理の「景気回復・デフレ脱却」という強いメッセージによって株価は上がり、外国為替も大幅に円が下がっています。その上10兆円を超える補正予算と25年度予算を連動させることによって景気回復を本物にしたいと言っています。
 この道筋によって景気が回復し、物価も2%に上がったときに、消費税を上げる最低条件が満たされることになります。それまでには電気料金をはじめとする公共料金も引き上げられるでしょう。ただでさえ厳しいわれわれの生活が更に厳しくなると思われます。
 しかし、この消費税は主に医療、介護、福祉など社会保障の財源になるといいます。社会福祉の充実を目指しているものとして微妙な立場になりそうですが、どの政党が政権を取っても消費税だけは避けて通れないものかもしれませんね。
 一方、県庁の車谷(くるまだに)福祉課長が栄転され、代わりに助野(すけの)課長が赴任して来られました。車谷課長さんとは「銀行における代筆・代読」の実施に向けて一緒に銀行の担当者を訪問するなど、多くのことに積極的に関わっていただきました。課長との話の中で、「利用者のために私たちがあります」という言葉が印象的に残っています。助野課長とは、まだ親密な話はしていませんが、印象としてはなかなか優しくて思慮深い方だと思いました。
 また、長勢(ながせ)代議士が政界を引退され協会の顧問も空席になりました。その後任として、新しく富山一区から当選されました田畑(たばた)代議士に顧問をお願いしなければならないと思っています。
 平成25年は協会にとって大きな事業が目白押しになっています。まず、2月16・17日には「北信越ブロック会議」が本県担当で、富山市の「いこいの村 磯波風(いそっぷ)」を会場に開催されます。初めての試みとして、代表者会議では傍聴人を募集して会議の様子を見学していただく計画を立てています。
 5月18・19日には北信越グランドソフトボール大会を本県担当で開催することになっています。前回は雨天により試合をせずに抽選で代表チームを選びましたが、今年は堂々と試合に勝って「全国障害者スポーツ大会」へ出場してもらいたいものと思っています。
 6月23日は、福井県において「第66回全国盲人福祉大会」が開催されます。隣県での開催でありますので、これまでの旅行団以上の参加をいただきたく思っております。
 それから、協会事業の日程の一部を変更することになりました。今まで真夏のお盆明けに行っていました「球技大会」を10月27日に、タンデム自転車の体験会を10月20日に、点字競技会を8月18日に、それぞれ変更することにしました。これは、平成25年度の事業計画に関わることでありますので、3月の理事会・評議員会の議決をいただかなければなりませんが、変更理由としては参加者の健康問題を重視したからであります。
 最後になりますが、やはり同行援護のことについてお話したいと思います。富山県のように公共交通機関の発達していない地方都市において、公共交通機関を利用しての同行援護には無理があります。一日に1、2往復しかしないバス路線。バス停まで4キロも5キロも歩かなければならない。全く交通機関がないなどというところが多くあります。そんな状態で同行援護が利用できるはずがないのです。
 どうしても、ガイドヘルパーの車に同乗できるようにするか、福祉有償運送を同行援護に取り入れてもらうしか方法がないと思っております。それを実現するためには会員の皆さんが一人でも多く同行援護を利用していただき、現状を役所の担当窓口へ届けなければ改善はできないと思います。
 そういう意味において、協会に同行援護を利用された感想(良いことも悪いことも、改善してほしいことも)をお聞かせ下さい。協会では、皆さんの声を行政に伝え、改革・改善をお願いし、その実現に努力していかなければならないと思っています。ぜひこのことをご理解していただきたいと思います。少しでも使いやすい同行援護をみんなで作り上げていきましょう。
 平成25年度も多くの行事を計画しております。皆さんの積極的なご協力とご支援の下、協会の運営がスムーズに推移できますよう心からお願いいたします。

《大会参加報告》
◆ 第58回全国盲女性研修大会・大阪市大会
            女性部長 柳田信子(やなぎだのぶこ)
 川と橋のある風景が、印象的な水の都「大阪」、昔ながらの人情溢れる浪速(なにわ)風情、食い倒れと言われるグルメ文化の大阪で、第58回全国盲女性研修大会が8月29日(水)から31日(金)にかけて「リーガロイヤルホテル」で視覚障害者を取り巻くさまざまな問題について研修が行われた。

★ なくそう! 障害者福祉の地域間格差を。
★ 育てよう! 思いやる心と感謝の気持ちを。
★ 高めよう! 自らの知性と教養を。
★ 拡げよう! 社会的視野と人の輪を。

 上記のスローガンのもと、今回は、富山県が全国委員なので、29日からの参加となった。午後2時30分から、新城(しんじょう)女性協議会長の挨拶のあと、30日の代表者会議に備えて全国委員会が行われた。出席確認が行われ、
1. 常任委員7名の承認
2. 平成23年度事業報告、収支決算報告、監査結果報告。承認
3. 平成24年度運動方針・事業計画・予算案を審議。承認
4. 各ブロックからの提出議題
 9ブロックの提出議題を読み上げ、それに付け加えたいことがあるブロックと、説明を加えたいブロックのみ提出議題を変更した。
5. 大会宣言案、決議案を承認
6. 2日目、3日目の役割分担をプログラム通りで行うことを承認
7. 研修大会の開催県の決定について
 全国9ブロックを持ち回りとし、当番ブロック内で話し合いをして開催県を決める。30日の代表者会議で採決を取る。長年なかなか採択できなかった議題であった。
8. 会報「あかね」の現状報告と11月号の原稿募集のお願い
9. その他
 第60回記念大会を東京都に決定。第50回から10年間のあゆみを発行する。
 午後5時に全国委員会が終了した。

* 二日目
 9時30分から全国代表者会議が106名の出席のもと開始された。昨日の全国委員会の第1号議案から第9号議案まで長時間にわたり協議して承認された。
 そのうちの第7号議案は、いろんな意見が出て、なかなか決まらなかった。会員の高齢化、また、会員の減少など社会情勢が開催県の設定に大きく影響している。最後に執行部を除いた代表者全員による二者択一により、賛成56名の挙手で採択された。時間を延長し、12時30分に閉会した。
 午後1時からは、第1部の研修会が行われた。講師に西川ヘレン氏を迎えて「大家族 ささえ愛、見守り愛、励まし愛」のテーマで講演が行われた。10人の大家族の中で何十年もの間、素直な感謝の気持ちを忘れることなく、支え合ってきた生活を、笑いあり、涙ありのすばらしい話術で1000人を超える会員の心まで届く感動の絆の話だった。
 第2部は、全国9ブロック代表者のレポート発表と意見交換会が行われた。テーマは「震災を通して思うこと」と題して、助言者に点字毎日編集長の岡田満里子(おかだまりこ)氏、社会福祉法人日本(にっぽん)ライトハウスの竹下亘(たけしたわたる)氏、日本(にほん)盲人会連合副会長の前川昭夫(まえかわあきお)氏。
 それぞれの思いで、自らの生き方、考え方を発表された。中には実際に大きな災害を経験した辛い辛い過酷な体験談も語られた。フロアーからは、何人かの人も災害を体験されたことを話された。
 これからあるかどうか解らない事だが、やはり私たち災害弱者が実際に災害にあった時の大変さ、悲惨さが、不安になり、しばらく頭の中が空白になってしまった。
* 三日目
 若さみなぎる地元高校生の元気いっぱいの歓迎演奏のあと、式典が行われた。その後、議事に入り、昨日の代表者会議の報告とそして承認。研修会報告とそして承認。
 最後に女性パワー溢れるすばらしい宣言案と決議案が朗読された。私たちの生活の向上と、人が生きていくためのいろいろな事の達成を盛り込んだ大会宣言、多くの事業を強化する大会決議が満場一致で採択された。
 残暑が厳しい中、1,350人をも超える熱気溢れる会場になり、三日間の研修会は閉会した。
 来年度、第59回盲女性研修大会は、山口県下関市で、8月28日から30日にかけて行われる。自分の気持ちの中に何かを得ることが出来ると思うので、次回の大会には、ぜひ多くのみなさんと一緒に参加したい。

◆ 第9回全国視覚障害者卓球大会
               射水支部 本江(ほんごう)とみ子
 まだまだ残暑厳しい9月16日(日)・17日(月・祝日)の二日間にかけて、第9回全国視覚障害者卓球大会が埼玉県障害者交流センターで開催されました。
 全国大会には各ブロックから選手が出場しますが、私たち北信越ブロックからは、新潟3名、長野3名、石川3名、福井2名、そして我が富山からは柳田、徳市(とくいち)、本江の3名が参加しました。
 16日は、8時40分に受付開始。開会式では、連盟会長の保坂正勝(ほさかまさかつ)さんの挨拶に続き、来賓の挨拶、そして競技上の注意がありました。愛知県選手の藤原正男さんによる力強い選手宣誓のあと、閉式となり、9時40分から競技が開始されました。
 ゲームは、サウンドテーブルテニスA(アイマスクあり)女子の部・男子の部、サウンドテーブルテニスB(アイマスクなし)女子の部・男子の部があり、柳田、徳市、本江の3名は、サウンドテーブルテニスA(アイマスクあり)女子の部に出場しました。
 1日目の予選リーグの試合は、11点3ゲームスマッチで、試合時間は20分の制限で行われました。
 まず柳田さん、1試合目は青森県選手の刈谷さんと対戦し1勝。2試合目は川崎市の山崎選手と対戦。この方は昨年の優勝者で、そんな相手に柳田さんも持ち前のスピードあるサーブで頑張ったのですが、健闘及ばず1敗。
 次は徳市さんです。1試合目は埼玉県の武田選手と対戦し1勝。2試合目は静岡県の伊藤選手と対戦。この方も昨年の準優勝者でした。徳市さんもまたリターンのしにくい回転をかけたサーブなどで頑張りましたが、惜しくも1敗。
 そんなことで柳田さん徳市さんは、翌日の決勝トーナメントに進むことはできませんでした。
 次に私本江ですが、1試合目は札幌市の山本選手と対戦。なかなか手強く2ゲームともジュースとなりましたが、辛うじて1勝。2試合目は千葉県の綿貫(わたぬき)選手と対戦。このゲームも、1ゲームはジュースとなり苦戦しましたが、何とか勝つことができ2勝。決勝トーナメントに進むことができました。
 そして2日目、決勝トーナメントは、11点5ゲームスマッチで試合時間は制限なしで行われました。
 私の対戦相手は、同じ北信越ブロックの長野県の住吉選手でした。住吉さんとは、北信越大会や北信越交流会などでも対戦していますが、なかなか勝てない相手で、あーあ駄目だという気持ちと、勝ちたい、負けたくないという気持ちが行ったり来たり。そして試合となりましたが、結果は3対0のストレート負けに終わりました。今思うと、気持ちの面でも弱かったように思います。
 私たち3名が出場したサウンドテーブルテニスA(アイマスクあり)女子の部の結果は、
 1位 山崎智恵子(川崎市)  2位 高橋ミヤ(神奈川県)、3位 伊藤貴子(静岡県)、住吉冬子(長野県)、でした。
 また北信越ブロックから出場した石川県の北川歌子選手は、サウンドテーブルテニスB(アイマスクなし)女子の部で2位に入賞されました。
 最後にこの大会を終えて思ったことは、1日目の予選リーグでは私たち3人のうち、2名が昨年の1位と2位の入賞者のグループに組み込まれていたことに、不公平さを感じました。しかし、なによりも3人ともが試合を楽しめたこと、それと試合相手から、また他の試合を見学できたことで、学び得たことも多くあり、とてもよかったと思いました。
 とりわけ、北信越ブロックから上位入賞者が2人も出たこともすごいことだと思いました。次は、富山からも上位入賞を是非ねらってもらいたいと思います。

◆ 第58回 全国盲青年研修大会
           青年部 定塚剛成(じょうづかたかなり)
 北は異人館や標高900メートルの六甲山(ろっこうさん)、南は多くの船が行き交う瀬戸内海。平安末期の武将、平清盛ゆかりの地、平成7年1月17日に発生した阪神淡路大震災から見事に復興を遂げた地、神戸市で第58回全国盲青年研修大会が9月21日(金)から23日(日)にかけて「神戸市立総合福祉センター」をメイン会場に行われた。
★ 生みだそう! 若い知恵と力
★ 勝ち取ろう! 明るい社会福祉
★ 歩き出そう! 明日への扉へ
 の3題のスローガンの下、約170名が参加して盛大に開催された。富山からは濱野雅之青年部長、高橋亨(たかはしとおる)、定塚の3名が出席した。
 初日の21日は、実行委員会と常任委員会で大会運営等を協議した。二日目の22日の午前は代表者会議、分科会、午後からは研修会、全国委員会がそれぞれ行われた。最終日の23日は会議等報告会に続いて大会式典が開かれ、大会宣言・決議が朗読された。
* 代表者会議
 全国61都道府県(政令指定都市含む)から各2名の参加ができる代表者会議は、出席者62名、委任状7通、計69名の出席で行われた。
 最初に平成23年度事業報告、収支決算報告が審議された。事業報告では「団体青年部活動助成事業」の助成範囲についての質問があった。「特に営利な事業でなければ助成する」との回答があった。収支決算報告では「組織対策費の支出内容について」「分担金について」「社会対策費の支出内容について」の質問などがあったが、賛成多数で採択された。
 次に平成24年度事業計画、収支予算案を審議した。「特別会計の使い道」について議論があったが、特に方向性も決まっておらず、有効な活用方法を考えているとの結論だった。以上、賛成多数で採択された。
 大会宣言案並びに大会決議案については全国委員会に付託された。その他、選挙管理委員の承認、青年協の名簿を来年度から団体のみに送付するとの報告などがあった。最後に、会長から今後の青年協についての考えや展望が示され、会議は終了した。
* 分科会
 分科会では、第1(同行援護・移動)、第2(災害・その他)、第3(情報バリアフリー)の3分科会に別れて、各団体からの提出議案を審議した。
 第1分科会は四つの提出議案、第2分科会は四つの提出議案、第3分科会は五つの提出議案がそれぞれ審議され、各分科会からそれぞれ二つの議案が全国委員会に提出された。
* 研修会
 午後からの第1研修会「アジアにおける手技療法と関節包内運動の応用」、第2研修会「神戸からみた平清盛」は、それぞれ専門家を講師に招いてお話をうかがい、第3研修会「防災研修」では「人と防災未来センター」に会場を移して研修を行った。
* 全国委員会
 各分科会からそれぞれ二つの議案計6議案が提出され、来年度日盲連第66回全国大会に青年協から提出する議題を検討した。
 その結果、「身体障害者手帳を、自動車運転免許証型あるいはICカード型にして全国統一化して頂きたい」「テレビにおける文字テロップでの緊急ニュース速報の早期な音声化に加えてニュース速報の前に流れる報知音も早期に統一していただきたい」「院内及び院外薬局でもらう薬の点字表記と薬に添付されている処方箋のSPコード化を要望するとともに、その薬の名前や特色が分かるようにしていただきたい」の3題を提出する事に決まった。
 続いて大会宣言案並びに大会決議案については全員一致で採択された。次回大会は平成25年9月21日(土)~23日(月)の3日間、静岡市で開催の予定。

◆ 第21回北信越サウンドテーブルテニス大会
                 富山支部 中田実希(みき)
 平成24年10月13・14日の2日間にわたり、福井市の「スカットランド九頭竜(くずりゅう)」にて北信越STT大会が開催されました。
 日頃からお世話になっているレディースの鳥崎さんに引率をしていただき、男子(中西・塘添・池田)、女子(太田・柳田・村田・中田)の計7名が参加しました。
 1日目は個人戦が行われ、参加者全員が「アイマスクあり」の男子・女子の部、「アイマスクなし」の男女混合の部に分かれ、11点3ゲームスマッチの予選リーグが行われ、その後決勝トーナメントが行われました。男子の部では塘添さんが準優勝に輝き、女子の部では柳田さんが準優勝、また村田さんが3位に入賞されました。
 2日目は団体戦が行われ、9チームのトーナメント戦になり、富山はA(柳田・太田・塘添)、B(村田・中田・池田・中西)に分かれて試合をしました。共に準決勝へ進みましたが、決勝戦には残れず富山県同士の3位決定戦となり、Bチームが勝ち3位となりました。
 この大会に参加して、試合以外の時間では同じ趣味を持つ者同士、話が弾みとても楽しい充実した2日間でした。ありがとうございました。私事ですが、大会前に体調を崩してしまい満足に練習もできなくて、日頃の練習がいかに大切であるかを痛感しました。

《事業報告》
◆ 平成24年度 ボランティアと利用者交流会
                    施設部 本江とみ子
 平成24年7月1日(日)10時~15時に「ボランティアと利用者交流会」が、あいにくの雨にもかかわらずボランティア約60名、利用者と付き添い約60名の参加を得て開催されました。
 午前は、富山市惣在寺(そうざいじ)にある富山県広域消防防災センター四季防災館において館内の見学体験、午後は、場所を変えて富山市友杉にある富山市富山南総合公園体育文化センターにおいて交流会が行われました。
 四季防災館とは、四季をコンセプトとする防災啓発施設で、富山の春夏秋冬という四季=自然のサイクルの中で、災害をとらえ克服に向けた先人達の努力を学べる、防災展示学習の場です。ここでは4グループに別れ、ボランティアと利用者がペアになって見学体験をしました。各グループには係員の方が付いてくださり、詳しい説明を受けました。
 私たちのグループが最初に受けたのが、季節では秋の煙体験でした。ホテルなど居室での火災発生を想定し、非常ベルが鳴るなどの演出を交えて、煙の中を避難する体験です。係員から、「煙は微粒子で上昇する性質があるので、姿勢を低くして、壁伝いに避難することが大切」と説明を受けてから、ボランティアさんと一緒に煙の中を、今聞いたことに注意しながら通り抜けてきました。
 次は、雪崩(なだれ)の様子が分かる見学、季節は春です。雪崩現象を模擬的に再現する装置では、発生の様子を紹介していました。雪崩には、「全層雪崩と表層雪崩があり、そのスピードは、全層雪崩は時速約30キロ~40キロ、表層雪崩は約100キロ~200キロ」とすごいスピードで流れてくるとのことでした。
 雪にみたてた発泡スチロールが坂を一気に下って落ちてくる様子がこの装置で分かります。雪が落ちてくるスピードは、想像を上回り、あっという間の出来事でした。冬から暖かくなってくる春の季節の変わり目に起こる雪崩の怖さを思い知らされました。
 3番目は、強風体験ができる所でした。季節は春。富山県の局地風(いなみ風、あいの風など)の特徴などを解説、被害防止のための心得を紹介しています。ここでの体験は、風速30メートル(猛烈な風)です。「30メートルの風とは、屋根瓦が飛んだり、古い木造の家屋が破損したりする風」だそうです。
 6名ずつに分かれて部屋に入ると、そこには風で飛ばされないようにつかまることのできる丈夫な手すりが備え付けられていました。徐々に風は強くなってきます。手すりをしっかり握り、足を踏ん張りますが、30メートルになると息もしづらく、とても顔を上げていることができません。このような強い風の時は、「外に出ないことが大切で、それが自分の身を守ることにつながる」とのことでした。
 4番目に回ったのが、初期消火体験です。季節は秋。ここは映像スクリーンの火災に向けて放水し、正しく放水を続けると映像が変化して消火が成功する、正しい消火行動を体験により学べる所でした。消火器の使い方は、まず消火器の上部にある安全ピンを抜く。次に消火器に付いているホースをはずし、先端を握り、火元に向ける。最後に消火器のレバーを強く握る。
 以上の説明の手順通りに、私もボランティアさんと一緒にスクリーンに向けて消火を行いました。うまく消せたようです。家に消火器があっても、正しく使えなければいざという時に役に立ちません。今まで私は、実際に消火器を持って噴射したことがありませんでしたので、大変よい経験ができたと喜んでいます。
 最後は地震体験でした。ここは、地震の揺れを三次元(上下、斜め、左右)に動く振動装置で、リアルに体験でき、振動や加速度等のデータ及び地震波の波形を表示しています。きれいな規則正しい揺れを、0を除く9つの震度階の体験、古いものは関東大震災、近いもので昨年の東日本大震災など、過去に日本で起こった9例の地震の体験、高いビルの上にいる時の揺れなど19例の長周期振動が体験できるとのことです。
 8名ずつ分かれて部屋に入ると、強風体験の時と同様につかまる手すりがあります。私がここで体験したのは、関東大震災と新潟地震だったと思います。ちょっと遊具にでも乗るような気持ちでその装置の上に乗りましたが、その揺れは縦、横、斜めと、強くなったり弱くなったりと、思いのほか大きく、手すりを握る手に力が入りました。このような揺れが家にいる時に起こったらと思うと、本当に怖いと思いました。
 私たちのグループが体験・見学したのはこの5箇所でしたが、他にも、119番通報体験、高齢者等の助け合い体験、富山県の消防の歴史等々、多くの体験・見学ができます。
 私たちが災害から財産や身を守るためには、こうしていろんな体験をし、知識を身に付け正しい判断ができるように、慣れることが大切だと実感しました。
 午後は、富山市体育文化センター3階の研修室に場所を移して交流会を行いました。最初に中西会長から挨拶があり、その後、点訳と音訳のグループに分かれて、意見交換会となりました。
 点訳グループの参加者は、利用者11名、ボランティア14名、最初に日赤点訳奉仕団の活動について話していただきました。
 日赤点訳奉仕団では、主に富山視覚総合支援学校に納める図書を点訳していて、今回は、絵本の製作について紹介されました。これは3年ほど前、支援学校から「まだ幼稚園や小学校に入る前の子供さんを対象に、見られる絵本があったらいいのですが」という要望があり、それを受けて始められたそうです。
 絵本ですから、触って絵を分かってもらうためには、布、厚紙、レザーなどの材料の質感を変えて絵を表したり、文字の点字は、タックペーパーに書いて貼るなど工夫をこらしてあります。「子供さんがこの絵を触って、色々イメージを膨らませてもらえたらいい」という思いで作られたそうです。そしてその絵本を皆さんで見せていただき、その後自己紹介と合わせて、絵本を見ての感想や、点字への関わりについて話していただきました。
 まず絵本について、利用者から「視覚に障害のある子供さんが1人で触って理解するのはなかなか難しいかも知れないけれど、説明を加えながら触って、理解していくのにはよいかと思います」「この絵本を作るに当たっては、大変ご苦労されたのではないか」「先天的に見えない子供さんがこの絵本を触って、どのようなイメージで捉えるだろうか?」「文章のない絵だけの絵本でもよいのではないか。そうすれば同じ絵を触っていても、子供さんの1人1人の思いは違っているので、いろんなふうにイメージして捉えるのではないでしょうか」という意見や感想が述べられました。
 他の会のボランティアさんからは、「きれいに細かく絵が作られている」また、「私たちのできないことをされていることに、感心しました」という称賛の声も聞かれました。
 次に点字図書について、利用者から小説などを読んで思われたこととして、「本の中に現れる登場人物の名前の漢字を知りたい。例えば名前がレイ子だとすると、そのレイが礼儀正しいの礼か、華麗の麗か、命令の令かスズの鈴なのか分からないので漢字の説明を加えてほしい」という要望が出されました。そしてその利用者は、「どの漢字なのか知りたいと思い、自分で本の中の登場人物を抜き出しネットで調べたところ、名前と一緒に役名も記されており面白さが半減した」というにがい経験も付け加えられました。
 この要望に対して点訳されている側から「本文に入る前にその中に現れる登場人物を抜き出し、名前の漢字を説明することは、点訳者に相当の負担をかけ、また読む人がどれだけの漢字を知っているかによって、漢字の意味を書いての説明がいいのか、または漢字の旁と偏での説明がいいのか、読む人の能力によって漢字の表現の仕方が異なるので難しい」という説明がありました。
 また利用者から「点字図書は主に漢点字の本を読んでいる」「30巻、40巻と長編物を読むのが好きだ」という発言もありました。
 一方、ボランティアさんからは「点訳を始めて2年目になりますが、今年からパソコンでしています」「年2回の寄贈を目標に点訳をしています」「皆さんからのご意見を励みに頑張ります」などとありがたい言葉をいただきました。
 音訳グループは、ボランティアと利用者約80名で行われました。ここでは音訳グループを代表して、ひまわりの会の方から、音訳がどのような順序を経て製作されているかについて話していただきました。
 まず、最初に下読みをし、分からない漢字の読みを辞書やパソコンで検索して調べ、アクセントなどを確認し録音の準備をします。次に録音に入る時は体調を整え、音声や読むスピードにも気を配りながら録音します。これが完成すると、最初の校正者に渡り、そこで直されて、2番目の校正者に渡り、またそこで直されます。これが終わると次の編集作業へ移ります。そしてこの編集作業が終わると、次は編集の校正をします。そして最後に編集の直しを終えると、DAISY図書としてやっと完成となるそうです。
 次に利用者を代表して、高岡支部の延野悦子さんに録音図書を利用しての思いを話していただきました。延野さんはテープを利用されていて、「主に高岡のつるばみの会、あかねの会の広報や県政富山などを聞くことで、行事などが分かっています」と話されました。また寝る前の楽しみとして、いろんな好きな物を聞いているそうです。
 お二人の発表の後、意見交換会となりました。まず利用者側から、「DAISY図書が多くの手順を踏んで製作されていることを今まで知りませんでした」という意見に加え、この作業の手順を聞いて、大変苦労されていることに、多くの感謝の言葉が述べられました。
 一方、ボランティアさんからは「自分たちが製作した物について、できれば利用者の声を聞かせていただきたい」「聞かせていただいた意見は、今後の製作に生かしたい」ということでした。
 点訳と音訳に分かれての交流会の後、全体会となりました。それぞれのグループの代表から意見集約をしたものが発表され、最後に堀副会長の挨拶で閉会となりました。
 今回も多くの皆様の参加をいただきありがとうございました。点訳のほうで見せていただいた絵本は、色使いもきれいでかわいく、優しさ暖かさが感じられる絵本に私は感動しました。また音訳では、同じ作業を何度も何度も行い、より質の高い物を作っていただいていることに対し、感謝の気持ちでいっぱいです。
 私たちは皆様のご苦労を忘れず、読書をすることで、心豊かになれることに感謝し、これからも楽しみたいと思います。次回もまた多くの皆様のご参加を宜しくお願い致します。

◆ 第38回富山県視覚障害者球技大会
            厚生部 舟川由紀子(ふなかわゆきこ)
 8月19日(日)、第38回富山県視覚障害者球技大会は、今年も、皆様のご協力により無事開催する事ができました。球技大会近くになると気になるのがお天気。そして、暑さですが、今年もまた、本当に暑い中での大会となりました。
 南部中学校グランドにおいて行われたグランドソフトボールは、今年も、社会人のみのAチームと、視覚総合支援学校の学生と社会人との混合Bチームに分かれての試合です。
 1回、先行したAチームが1点を。2回、両チーム共に無得点。3回の裏、Bチームは3点を取り、1対3と逆転。続く4回、両チーム共に無得点。そして、時間切れから、最終回となった5回、Aチームは3点を取り逆転。その裏、再度逆転を狙うBチームでしたが追撃ならず。結果4対3で、Aチームの勝利となりました。暑さとの戦いもあった事と思いますが、その暑さにも負けない熱戦が繰り広げられました。
 視覚障害者福祉センターでは、サウンドテーブルテニス・女子の部(アイマスクあり)が午前に、男子の部(アイマスクあり)と男女混合の部(アイマスクなし)が午後に行われ、こちらもまた、数々の熱戦を繰り広げていました。
 第38回富山県視覚障害者球技大会の結果をお知らせします。
* グランドソフトボール
 優勝     社会人Aチーム
 最優秀選手賞 増山 智(ますやまさとし)(富山支部)
 優秀選手賞  高木秀和(たかぎひでかず)(視覚総合支援学校)
 優秀選手賞  柳沼芳一(やぎぬまよしいち)(富山支部)
* サウンドテーブルテニスA(アイマスクあり)女子の部
 優勝   柳田信子(富山支部)
 準優勝  徳市和美(高岡支部)
 3位    村田恵子(富山支部)
* サウンドテーブルテニスA(アイマスクあり)男子の部
 優勝   塘添誠次(とうぞえせいじ)(射水支部)
 準優勝  中西美雄(富山支部)
 3位   安達 実(富山支部)
* サウンドテーブルテニスB(アイマスクなし)男女混合の部
 優勝   太田蓉子(射水支部)
 準優勝  徳市秀晴(高岡支部)
 3位   池田一義(富山支部)
 以上です。優勝された皆様からは、「日頃の練習があったからこその優勝かと思います」「優勝できて、とてもうれしいです」「年齢から、そろそろ無理かな?なんて思ったりしていたんですが、優勝できた事で、もうしばらく続けられそうに思え、とてもうれしかったです」など、とても積極的な話を聞きました。
 閉会式では、サウンドテーブルテニスの審判長より、「皆さんのレベルが年々アップしてきているのを、とてもうれしく思います。なかでも、女子のレベルが拮抗してきている事。そして、今回3位になられた村田さんの活躍には、目を見張るものがありました。皆さんの、今後益々のレベルアップを期待します」と、総評があり、大会は無事閉会となりました。
 暑い中、ご協力いただきました皆様、本当にお疲れ様でした。そして、有難うございました。来年も、多くの皆様のご協力を、よろしくお願いします。

◆ 平成24年度 宿泊研修 ― 「家族激励大会及び山岳歩行訓練」
            厚生部長 白口 務(しらぐちつとむ)
 9月15日(土)から16日(日)にかけて下新川支部担当で、小川温泉元湯「ホテルおがわ」において県内各地から70余名の参加を得て開催されました。
 ホテル到着後、各支部ごとに受付を済ませ、14時からホテルおがわ3階の福寿の間において、多くの来賓の方々をお招きして激励大会が開催されました。
 開会の辞を塘添副会長が行い、続いて中西会長が「同行援護・センター運営・盲人ホーム・日常生活援助・図書の利用等、また未会員の方々も我々同様の身分確立について皆さんのご理解をよろしく」と挨拶されました。舟川下新川支部長からは入善町・朝日町の郷土について詳しく話され、名調子で歓迎の言葉がありました。
 来賓の方々からも多くの激励のお言葉を頂きました。朝日町町長は「障害者も高齢者も子供も社会の一人であり、みな平等である。より住みよい生活ができるように」。県議の上田氏は「児童福祉・高齢福祉・障害福祉等相談ネットワークを作り、思いやりの社会作り。困っていることがあれば相談をしてほしい」。本当に我々にとって非常に心強いお言葉をたくさん頂きました。
 激励大会終了後、歩行訓練。15時25分に集合、点呼、ペアを組み人数把握し出発。出がけに雨が降り心配していましたが出発するころには雨が上がりました。ホテルの好意により、最後部に車を出して頂き1316mのトンネルを通る。今回の歩行訓練はほとんどトンネルの中でした。全行程の中ほどで、朝日発電所の展望台で一休みしてハーブ園に行きましたが、手違いで休園ということでした。皆も香りを嗅ぐのを楽しみにしていたのですが、非常に残念。今年の歩行距離は例年より長く感じたのは私だけだろうか?ずーっとトンネルの中だったからか?
 ハーブ園到着後、バスでホテルに戻りました。皆さんは思い思いに大浴場で歩行訓練の汗を流し、身も心もリフレッシュしました。18時30分より2階大宴会場で中西会長の挨拶に続き、萩中常務理事の乾杯の音頭で宴会が始まりました。下新川支部の浜川さんには素晴らしい二胡の演奏を披露していただきました。カラオケでは相も変わらずプロ顔負けの歌を披露されました。
 翌16日、10時より3階の福寿の間において、夢創塾塾長・長崎喜一氏による「生きがいは夢創り」と題して講演を頂きました。丸太小屋や炭窯作り・遊具・自然資源を利用した、森からの自然の恵みを教材とした自然体験学校について面白く講演を頂きました。また、創意工夫した多くの作品を手に取ったり、叩いたり、吹いたりで、大変楽しく心に残る講演会でした。
 下新川支部の皆さん本当にごくろうさまでした。来年も皆様と一緒に元気な顔で、富山市で会いましょう。事務局の皆様ご協力ありがとうございました。

◆ 第36回視覚障害者文化祭・福祉機器展 ― みんなで、歌った文化祭!!
           文化部長 上坂敏彦(こうさかとしひこ)
 平成24年9月30日(日)、台風が夕方にもっとも近づくとニュースで伝えられている中、富山市磯部町の視覚障害者福祉センターにおいて、第36回視覚障害者文化祭・福祉機器展が、無事行われました。
 午前10時より、中西会長の挨拶があり、引き続いてアトラクションに、ギターリスト・大橋氏とフルート奏者・増山さんによるジョイントコンサートが催されました。
 アイルランドの曲やラテンミュージックほか、ギター・ソロで、名曲「愛のロマンス(禁じられた遊び)」や「アルハンブラの思い出」を。日本の四季のコーナーでは、伴奏にあわせて各季節から1曲ずつを、みんなで歌って参加するなど、生の音色を間近で楽しむことができました。
 午後からは、会員による生きがい教室発表に日頃の成果を、フラワーコーラスは、男性メンバーを増やし、重厚なハーモニーを聴かせてくれました。その後、詩吟に4氏が、民謡は、今年クラブ員だけでがんばり、最後にカラオケで自慢の歌声を聴かせてもらい、午後3時には、予定のプログラムを終えました。
 センター内では、福祉機器展として、ワンセグのテレビ音声も聴けるように開発されたラジオ2機種を比較展示ほか、色を読み上げてくれるカラートークなど。フロアーには、会員の手芸品(小物・飾り・服)や趣味の作品を展示、漢点字を紹介するブースなど。和室においては、女性部員がお茶席を開いていました。
 また、ボランティアの協力にて手作り作品販売を、飲食物販売ではコーヒー・弁当・おにぎりや酒類・おつまみなどを買い求めたりして、愉しく一日を過ごせました。
 終わり頃、雨が降り出しましたが、昨年より多くの参加をいただきました。みなさんの協力があり実施でき、ありがとうございました。

◆ 第61回点字競技会・第13回パソコン競技会
                    文化部 高島ヒサ子
 平成24年10月21日、視覚障害者福祉センターにおいて、第61回点字競技会と第13回パソコン競技会及び第2回携帯電話による競技会が行われました。会長の挨拶に続いてオリエンテーションとして競技上の注意などがありました。
 いつも思うことですが、もう少し人数が増えるともっと楽しいのにと思いました。年齢制限もなく、気楽に多くの人と競技をすることは、結果はどうであろうとも、このワクワク感とドキドキ感が、元気を与えてもらえるような、そんな気がします。その意味において、もっと若い人が出てきてくれると会場がどんなに明るく楽しいだろうと思われます。
 今回は、午後の出席者がずいぶん少なかったのですが、表彰状は是非、本人の手で受け取っていただきたいです。来年は審査員を困らせるほど出てきていただけることを期待しています。
◎点字競技の講評(視覚総合支援学校・土田先生)
・ いっぱい書いてありいつもより良かった。
・ 記憶書き … 覚え間違いがあった。
・ 写し書き … 問題文の通りに書けていなかった。
・ 早読み … できるだけ早く正しく読む。点字は私たちの文字であるから忘れないでいただきたい。
・ 聞き書き … 一つの単語として書いてほしかった。
◎パソコン競技の講評(ひまわりの会・駒方さん)
・ カギカッコがうまく入らずきちんと使いこなせなかった。
・ パーセントは記号を使ってほしかった。
・ パソコンを使いこなそうとする懸命さには感心させられた。
 昼食をはさんで午後からは、「夢追いかけて」という題の映画を鑑賞し、感動と感激の涙をいっぱい流しました。
 突然視力を失くしたが、それにめげずシドニーでのパラリンピックで水泳の部で金メダルを取る。また見えないにも関わらず普通中学の教師(社会科)に、つまり、社会科の先生としていろいろな挫折にもめげず頑張りぬく感動のドラマでした。たいへん有意義な1日を過ごさせていただきありがとうございました。
 また、ボランティアの皆様、視覚総合支援学校の先生方、大変お忙しい中をご協力いただきありがとうございました。また視覚障害者福祉センターの職員の皆様、会員の皆様も協力ありがとうございました。
 成績は次の通りです。
* 点字競技
団体の部 1位 富山市Aチーム 2位 射水市チーム 3位 高岡市チーム
個人総合 1位 松波律子(高岡支部)
一般の部 1位 松波律子(高岡支部)、2位 小林 幸(こばやしみゆき)(富山支部)、3位 安達 実(富山支部)
中途失明者の部 1位 塘添誠次(射水支部)、2位 谷内幸子(富山支部)、3位 山口 勇(高岡支部)
田島杯 山田喜美子(富山支部)
* パソコン競技
1位 田口明美(高岡支部)、2位 山口 勇(高岡支部)、3位 安田庄内(高岡支部)
 携帯電話の競技は参加者が一人でした。

◆ 平成24年度 体験学習 ― 「タンデムで広がる世界・深まる輪 Ⅲ」
                    富山支部 藤井清隆
 10月28日(日)、富山空港沿いの緑地公園内で、第3回タンデム自転車体験会が開催されました。前日までの予報では雷を伴った雨のようでしたが、風は強いものの時折小雨がぱらつく程度で走行にはそれほど支障はありませんでした。
 参加者は会員が19名、ボランティアが17名で、不二越工業高校ボランティア部の生徒さん達と引率の先生、富山大学の学生さん、同行援護の方々、ビッツの方々などの協力によりスムーズに実施することができました。
 時折、離発着するジェット機の迫力には思わず自転車を止めて見入って(聞き入って)しまうほど感激し、飛行機が飛び立つ様子に自らの夢を乗せてしばし空想にふけっておりました。
 ボランティアの方が周りの様子を細かく説明してくださるので、おいしそうな柿の実がたくさんぶらさがっている木や小川のせせらぎなどで秋の情景が浮かんできました。
 不二越の学生さんたちは礼儀正しく、大変丁寧に誘導していただき、私の学生時代を考えると、ただただ頭の下がる思いです。
 休憩所にはかくし芸などで使う皿回しの道具があったり、終始笑い声が絶えないとても楽しい体験会でした。来年もまた参加したいと思います。

◆ 平成24年度 三療研修会
                  施設部長   安田庄内
 平成24年11月18日、視覚障害者福祉センターにおいて、午前10時より12時まで施術交換会が行われました。今回、和室が女性部の教室と重なったため、盲人ホーム施術室だけで実施され、付き添いやボランティアの方を含めて約15名が参加しました。
 二人がペアになり、お互いに相手の主訴を聴きながら治療技術を交換しました。また、日頃からお世話になっているボランティアの方への施術奉仕も行いました。ほがらかで楽しい施術交換会は、あっという間にお昼時間になってしまいました。
 午後1時から、研修室において三療研修会が開催され、「言葉でわかるあなたの人生」と題して木内哲子(きのうちてつこ)先生の講演を聴きました。
 三療には直接結びつかない演題のように思えるかも知れませんが、患者さんに施術する時は、先ず主訴や病歴を聞き出す問診が重要になります。特に視覚障害者は視力を活かす事が苦手ですから、患者さんの姿勢や歩き方、顔や皮膚の色つやなどを視力で判断する事はかなり困難です。そのため、問診が大変重要であり、いかに上手に患者さんの病状などを聞き出せるかが重要になります。また患者さんの悩みを聞いてあげる事も施術に役立ちます。
 そんな訳で、講師、演題ともに皆さんの関心が高く、ボランティアの方も多数聴講され、34名の出席がありました。
 先生は「言葉」によって失敗した事やうれしかった事について、教員時代などの数多くの体験談を交えながら、「言葉」の大切さを熱く語られました。また、相手からの「言葉」をそのままでなく、プラス思考で解釈して受け取ることの大切さも訴えられました。そして、それが長寿の秘訣であることも。
 言語療法士でもある先生は、長く聾学校で教師として尽力されていましたが、昭和41年~43年には盲学校教師として小学部を担当しておられたこともあるそうです。数十年ぶりで再会された会員もおられ、ともに懐かしく話をされました。
 質問者のすぐ傍に行かれて回答される様は、パワフルでバイタリティーに溢れ、とても91歳とは思えないほどでした。あちこちから感嘆の声が聞かれ、三療、人生ともに感動と勇気を与えられた素晴らしい講演でした。
 木内先生、どうも有難うございました。

◆ 平成24年度 更生相談会 ― 今後に期待、県に提出した要望に対する回答の報告
              副会長(厚生部担当) 山内正一
 富山県視覚障害者協会更生相談会は、去る12月2日(日)富山県視覚障害者福祉センターで開催された。
 今回は、初の試みとして、各支部から出された要望をまとめ、総会決議の後「視覚障害者の福祉についての要望書」として提出した本協会の思いに対する県当局からの回答が主な内容。冒頭、会長挨拶の後、各項目毎に、出席した会長、副会長等から説明があった。
 要望書の概要は
* 富山県視覚障害者協会からの要望として
1. 視覚障害者の自立支援について
(1) 安全面からの全盲者、弱視者の自立支援について
(2) 経済面からの自立支援について
(3) 視覚障害者の社会参加促進と同行援護について
2. 視覚障害に対する社会的理解、認識について
(1) 法律関連からの理解について
(2) 災害時などの視覚障害者への理解について
3. 視覚障害者の体力や健康の増進、スポーツ施設について
4. 情報、ICT関係について
5. 医療、介護関係について
6. 日常生活用具、補装具について
7. その他
* 富山県視覚障害者福祉センターからの要望として
1. 県内で活動される点訳、音訳ボランテイアの方々に必要ソフトを無料で配布し経済的負担軽減を図るための助成をお願いしたい
2. 視覚障害者福祉センター内の視覚障害者用補装具や日常生活用具展示コーナーの充実をお願いしたい
3. 高速点字プリンターの整備に助成金の交付をお願いしたい
 と多岐にわたっており、当局からの逐次回答もそれに準じたようであった。回答を総括すれば、「特筆すべきものはなかったように思うが、さりとて後退しているとも思えない」(会長談)とのこと、いずれにしても初めての試みであり今後に期待したい。
 なお、この回答結果を、年末、顧問である五十嵐県議に報告しておいたところ、平成25年1月4日、今回の選挙で初当選された自民党田畑衆議院議員とわざわざ新年のご挨拶にお見えになった折、「先日の回答結果を拝見いたしました。次回からは、回答の日、その場に同席する等も視野に入れながら、皆様方のお力になりたい」旨のお話を聞き、力強く感じた。

◆ 三療部会報告
                    三療部会長 堀 惠一
* 平成24年3月11日(日)
 とやまライトセンター盲人ホーム施術室において、午前10時より12時まで治療奉仕、施術交換会を行いました。参加者11名で、家族の治療と施術者同士で主訴を聞きながら治療技術の交換をしました。
 午後は1時から富山視覚総合支援学校の増田朋宏(ますだともひろ)先生の、腰痛に対するリハビリの講演で勉強しました。
 腰痛の症状と鑑別、それぞれの治療について、また日本の診察と西洋の診察の違い。そして西洋では腰が痛いというだけで、すぐにレントゲンやMRIによる診察はできるだけ避けるようになってきていること。患者さんの主訴だけを診るのではなく、一人の患者さんにしっかり向き合い、私達だからできる施術に心がけたいことなど。
 時間を30分ほど延長され、ウイリアムズ体操、マッケンジー体操などの実技を、参加者全員が理解できるまで続けられました。
* 6月3日(日)
 とやまライトセンターの盲人ホームと和室において、午前10時から治療奉仕と施術交換会。新会員を含め15名の会員が参加。治療奉仕ではボランティアさん4名と家族2名の施術を行い、他の人はお互いにペアとなり、治療技術交換をしました。
 午後1時からは平成24年度の総会が開催されました。15名出席。安達・三療副部会長から平成23年度事業と決算が報告され、拍手で承認されました。
 その後、三療座談会と題して施術室での患者さんとの接し方や施術方法などで日頃感じていること、皆さんに聞いてみたかったこと、悩みなどを話し合いました。いろいろと勉強になることも多い時間でした。
* 9月9日(日)
 とやまライトセンター盲人ホーム施術室、和室において、午前10時から治療奉仕と治療技術交換会。治療奉仕でボランティアさん3名と家族2名に施術し、参加者15名の間で治療技術交換を行い勉強しました。
 午後1時からは盲人ホームにおいて高島ヒサ子さんの講演を聞きました。主に盲学校卒業後に勤めた治療院の先生のこと。いろいろと学んだこと。気持ちのこもった話しぶりで皆さんにも参考になることが多くありました。講演の後半は話の内容をもとにいろいろと意見交換を行いました。
* 11月18日(日)
 とやまライトセンター盲人ホーム施術室において、10時より治療奉仕と治療技術交換会。付き添いやボランティアの方を含めて約15名が参加し、ボランティアさん1名と家族1名に治療奉仕を行うとともに、二人がペアになり、お互いに相手の主訴を聞きながら治療技術を交換しました。
 また午後1時からは協会の三療研修会が開催され、多くの部会員も参加しました。「言葉でわかるあなたの人生」と題して講師に言語セラピストの木内哲子先生をお招きし、講演をお聴きしました。

《報告事項》
◆ 障害者虐待防止法
             副会長 塘添誠次(とうぞえせいじ)
 障害者虐待防止法の正式名称は「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」で、児童虐待防止法が平成12年11月に、配偶者等暴力防止法が平成13年10月に、高齢者虐待防止法が平成18年4月に施行されており、残されていた障害者虐待防止法がようやく平成23年6月17日に成立し、平成24年10月1日から施行されたものです。私が富山県視覚障害者協会を代表して「富山県障害者虐待防止ネットワーク協議会」の委員になりましたので、この法律について記載したいと思います。
 この法律の目的は、「障害者に対する虐待が障害者の尊厳を害するものであり、障害者の自立及び社会参加にとって障害者に対する虐待を防止することが極めて重要であること等に鑑み、障害者に対する虐待の禁止、障害者虐待の予防及び早期発見その他の障害者虐待の防止等に関する国等の責務、障害者虐待を受けた障害者に対する保護及び自立の支援のための措置、養護者の負担の軽減を図ること等の養護者に対する養護者による障害者虐待の防止に資する支援のための措置等を定めることにより、障害者虐待の防止、養護者に対する支援等に関する施策を促進し、もって障害者の権利利益の擁護に資する」と書かれています。
 要するに、虐待を受けた障害者への自立の支援と、障害者を養護する者が障害者を虐待した場合の養護者への支援を行うもので、虐待によって障害者の権利や尊厳をおびやかされることを防ぐ法律です。
 この法律でいう「障害者」とは、身体・知的・精神障害(発達障害を含む)・その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活・社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいいます。
 障害者虐待には、以下の3種類があります。
① 養護者による虐待
 障害者の生活の世話や金銭の管理などをしている家族や親族、同居する人による虐待のこと
② 障害者福祉施設従事者等による虐待
 障害者福祉施設や障害福祉サービス等の事業所で働いている職員による虐待のこと
③ 使用者による虐待
 障害者を雇用している事業主などによる虐待のこと
 障害者虐待の類型には、以下の5種類があります。
① 身体的虐待
 障害者の身体に外傷が生じ、若しくは生じるおそれのある暴行を加え、又は正当な理由なく障害者の身体を拘束すること
<具体例> 殴る、蹴る、つねる、無理やり食べ物を口の中に入れる、やけど、縛る、鍵のかかった部屋に閉じ込める、薬で行動制限をする
② 放棄・放任(ネグレクト)
 障害者を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置・他の同居人・障害者・労働者等による同様の行為の放置等養護を著しく怠ること
<具体例> 水分や食事を与えない、入浴させない、失禁しても衣服を取り替えない、けがや病気の受診をさせない、爪や髪が伸び放題
③ 心理的虐待
 障害者に対する著しい暴言、著しく拒絶的な対応又は不当な差別的言動その他の障害者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと
<具体例> 馬鹿、アホなどの侮辱する言葉、怒鳴る、罵る、子ども扱い、意図的な無視、罰として「作業に行かせない」と脅す等
④ 性的虐待
 障害者にわいせつな行為をすること又は障害者をしてわいせつな行為をさせること
<具体例> 性交、性器へのキス、性的行為の強要、裸にする、裸の写真を撮る、キスする、わいせつな言葉や会話、わいせつな映像を見せる
⑤ 経済的虐待
 障害者の財産を不当に処分すること、その他当該障害者から不当に財産上の利益を得ること
<具体例> 年金や賃金を渡さない、本人の同意なしに財産や預貯金を処分・運用する、お金を渡さない、使わせない
 何人(なんびと)も障害者を虐待してはならないのであり、虐待防止法ができたからといって、虐待がなくなるわけではないのです。そして、国民には、「虐待を受けたと思われる障害者を発見した者は、速やかにこれを市町村に通報しなければならない(通報義務がある)」のです。
 県には「障害者権利擁護センター」、市町村には「障害者虐待防止センター」を設置し、障害者虐待の通報受付の窓口として、虐待対応や権利擁護に努めることとなりました。
 具体的な通報窓口は、市町村の場合は、福祉の担当課で、県の場合は、富山県総合福祉会館(サンシップとやま)2Fに設置され、24時間365日対応することとなりました。
 尚、この法律は、施行後3年を目途に検討を加え、必要な措置を講ずるものとされています。
 【富山県障害者権利擁護センター】
富山県総合福祉会館(サンシップとやま)2F(富山県福祉総合相談センター相談課内)
  〒930-0094 富山市安住町5番21号
  TEL :076-432-2950(専用)
  FAX :076-432-6532
  E-mail:shogaikenri@wel.pref.toyama.jp(専用)

◆ 東北視察研修会
                     副会長 塘添誠次
 この度、富山県障害者施策推進フォーラム協議会が企画した東北視察研修会が平成24年11月6日(火)から8日(木)に行われ、協会を代表して宮田(みやだ)所長と私が参加しました。
 この協議会は、富山県身体障害者福祉協会、富山県視覚障害者協会、富山県聴覚障害者協会、富山県手をつなぐ育成会、富山県精神障害者家族連合会、富山県障害者団体連絡協議会の6団体で構成されたもので、今回の研修会の参加者は、富山県手をつなぐ育成会を除く5団体から26名で、バスの運転手2名を合わせ合計28名の旅行団でした。
 この研修会は、平成24年8月1日から2日にかけて行われた、富山県身体障害者相談員研修会で「東日本大震災の復興」に向けて、仙台市障害者福祉協会の阿部会長に講演をしていただいたのがきっかけとなり実施されたものです。
 11月6日は、14時40分から17時に宮城県の仙台市福祉プラザ、7日は、10時30分から12時に福島県郡山(こおりやま)市にあるJDF被災地障害者支援センター福島の「障害者交流サロンしんせい」において、「東日本大震災から1年半(被災地宮城・福島) 復旧・復興の現状について」というテーマで研修を行いました。
 仙台市障害者福祉協会は、14の団体から組織されており、そのうち9団体から14名プラス事務局から4名の合計18名が出席されていました。
 それぞれの団体から東日本大震災の被災の生々しい体験談やその後の復興に向けての取り組みなどを報告していただいた後、こちらからの質問に答えていただきました。
 「障害者交流サロンしんせい」は、障害者にこだわらず、被災されて基盤がなくなってしまい、昼間何もすることのない方々に気軽に来ていただいて、お茶を飲んだり、相談を受けたり、ちょっとリフレッシュしたり、気分転換的に過ごしてもらう憩いの場を与えている施設です。
 ここでは、白石代表をはじめ、電動車椅子を使用している脳性マヒの方6名と事務関係の4名の合計10名の方が出迎えてくださいました。そして、電動車椅子の方からそれぞれ今回の震災の体験談をお話していただきました。言語障害がありながらも資料に沿って一生懸命に話をしてくださいました。私以外の人は、口元や墨字の資料を見ることである程度理解できたようですが、私はその言葉がなかなか聞き取れず、一部分しか理解できなかったのが残念でした。
 しかし、その中で、郡山市は原発から50キロ離れているので放射能の汚染はあまり受けていないのかと思われがちですが、福島は東西に風が吹くので、ここはその真西に位置しているため意外と放射線の濃度が高いとのことです。そして、「宮城や岩手は復興に向かっているが、福島はそこまで至っていない」「不安と先が見えないために、うつ病とアルコール依存症の人が増えているんじゃないか」という言葉が印象的でした。
 二日間の研修では先ず、大災害の際には、誰もがパニック状態になってしまい、わが身の安全を図るのに精いっぱいとなってしまう。そのような状況下では、障害者などの手のかかる者の救助に関してはどうしても後回しになってしまうので、避難にあたって重要なのは、平生から地域との結びつき、繋がりを持っておくことだということでした。
 今回の東日本大震災では、地震と同時にライフラインが寸断されて、大津波警報の伝達は消防団などの口コミの連絡であり、情報は携帯電話とラジオだったそうです。
 そして、皆さんが異口同音に言われたことは、互いの安否確認ができなかったことです。1995年の阪神淡路大震災の際には、障害者団体の積極的な動きによって行政から開示された障害者名簿を頼りに、障害者の安否確認が行われたそうですが、今回の東日本大震災の際には、個人情報保護法が壁となり、障害者の名簿開示がなされなかったので、支援体制がとれず大変苦労したそうです。
 今後の防災に生かすためには、これからも大震災は起こるであろうから、大災害が起きた際には、各地方自治体は要援護者名簿を含め障害者の名簿開示を行い、迅速に障害者の避難にあたること。そして、各地方自治体と各地の障害者団体等、町内会等との間で綿密な協議を行い、障害者の名簿開示に関する具体的な方策・手順を決めていき、具体的防災対策を企画していくことが望まれます。
 また、避難所の生活は、障害者に対して配慮がなされず大変だったことは言うまでもありません。しかし、その中で、障害者が主体的に活動している団体がある地域では支援活動が何とかとれたのに対し、障害者自身が動いていない地域では、障害者の支援活動が後手後手に回ってしまっているそうです。
 研修会終了後、郡山市の東にあり、原発から約70キロ南にあるいわき市の塩屋埼(しおやざき)に向かいました。ここは、美空ひばりの「みだれ髪」で有名な観光名所ですが、津波は海岸線から200メートルぐらいの所まで押し寄せたらしく、仮設住宅が建っていること、家の基礎しか残っていない様子、小学校のグランドに瓦礫がいっぱい積まれていることなどを宮田所長に説明を受けながら視察して回りました。
 1日も早い復興を願うところでありますが、今回の研修旅行では、仙台市といわき市に宿泊しました。ところが、どちらの宿も平日にもかかわらず多くの宿泊者がいたのには驚かされました。震災後原発事故のこともあり、東北への旅行者が激減していたように聞いていましたが、回復してきているのではないでしょうか。
 最後に、私が今回の研修を含め、常々思っていることがあります。それは、災害が起こったとき、先ず避難しなければなりません。その時に単独で避難できる視覚障害者は少ないと思います。誰かの援助が必要です。
 ところが、家に閉じこもっている視覚障害者は、そこに障害者がいることを地域の人は知らずにいます。また、白杖を持たずに行動している弱視の人は、自宅周辺ではさほど不都合さを見せずに行動しているので、目が悪いということを地域の人に知らせていないことになります。
 すると、避難などに際しては、周囲の人に協力を求められません。知らせる努力をしていなくて誰も助けてくれないと言っても、それは通じない話ではないでしょうか。これからも災害は身の回りで起こるかも知れません。目が悪いということを周囲の人に知らせる努力をしておきましょう。

《みんなの広場》
◆ ボランティアと利用者交流会に参加して
            富山支部 小林 幸(こばやしみゆき)
 今年の交流会は、四季防災館で災害のシミュレーション体験をしました。東日本大震災の爪痕も癒えていない今、日本中が災害に対して大きな関心が寄せられています。4月開館して1万人の来館者があったとテレビのニュースで聞いて期待してこの日を迎えました。私のパートナーになっていただいたのは点訳をしていらっしゃる方で、婦中町にお住まいの私と同じ名前のお嬢さんの若いお母さんでした。
 最初は風速30mの強い風です。次第に激しさを増してゆく風に髪が巻き上げられてなびいています。耳元でゴーゴーと音も高まり、不安を感じたとき風は静まってゆきました。
 異常気象のせいなのでしょうか、竜巻の発生も幾度か聞きます。富山でもトラックが横転したり、橋を渡れなくて立ち往生しているとか、家の中にいる私も怖い思いをしています。
 次に火災です。消火器は備えてはいるものの、いつのまにか物陰や隅に移動していて、使用期限がとっくに過ぎているのに買い替えられていないと口々に囁き合っていました。赤い部分が青くなっていたら圧力が低くなっているので使用できないそうです。古いものはホームセンターで引き取ってもらえるかもしれませんから伺ってみましょう。
 消火器は火元の鍋やフライパンの中に向けて放射します。私はずーっと若い頃に一度、本当の消火器を体験させてもらいました。ピンを外したりレバーを引いたりするのは簡単にできましたが、力強く粉が出るので手に伝わる振動が強くて体で支えていた記憶があります。
 火災現場からの脱出は、暗い中、煙が目にしみたりして外からガイドさんがジョークを交えながら誘導されていました。私たちは暗いのはどこにいても同じですし、年のせいでしょうか、目や鼻に強く感じることもありませんでした。外に出られた方々も咳き込んでいらっしゃる方もなかったように思います。
 私の入浴中に母がガスレンジを触ってしまって片手鍋の柄が燃え落ちたときはすごい煙と臭いでした。火災警報器が鳴らなかったのでなぜだろうと思っていましたら、その時は逃げるときだと言われ納得した私です。火災は自己責任ですから、しっかり心して防ぎたいものですね。
 最後は地震です。震度7まで次第に揺れが高まってゆきます。手すりにしがみついて立っていました。でも阪神淡路大震災や新潟地震の揺れに対しては足がすくんで身動きできないと思いました。罹災された方のコメントに余震の続く中、怖くて家の中にいられないとおっしゃっていたことが思い出されます。3年あまり前に関東地方に転勤した甥がせめて家具の固定をしておいたらいいと言って帰りました。繰り返される余震の体験から老いた私たちへの思いやりの言葉だろうと思っています。
 「富山県は災害がないことはありませんよ」とガイドさんがおっしゃいました。幸いにして少ないのを感謝したいものです。
 身を守るのは自分自身です。普段から確認と点検を怠らず、持ち出し袋を準備して慎重に冷静に行動するように心がけてゆきましょう。

◆ 富山三つ星山の会より
             事務局長 桐井英志(きりいひでし)
 視覚障がい者のアウトドア活動を支援する「富山三つ星山の会」の活動に対し、多くの協会員の方々よりご理解とご協力を賜り、活発な活動を展開させていただき、深い感謝を申し上げます。24年度を振り返ると全国より同種12団体、計300名が集結した京都比叡山での全国大会に参加し、交流を深めたことをはじめ、登山、ハイキング、スキースノーシューに懇親会と好評を博しました。
 また、前年に続き当会役員でもある視障ピアニストYOUTA(ユータ)氏指導にて「富山県民ボランティア大会」を中心に音楽活動へも取り組んでいます。おかげさまにて「ボランティア活動推進富山県民会議会長表彰」を受賞させていただきました、ありがとうございました。
 当会の25年度事業計画並びに投稿いただいた会員よりの心温まるエッセイを紹介します。本県開催の全国大会以来7年ぶりとなる立山など長年にわたり培った技術・経験を活用する登山や皆様の要望に応え一般公募を含むバスハイクなどソフトで魅力・特色あふれる内容となっています。
 一緒に郷土の豊かな自然を楽しみませんか?皆さんの参加を心よりお待ちします!なお、下記予定は変更となる場合があります、何なりと問い合わせ下さい。今後とも宜しくお願い致します。
*平成25年度事業案
4 / 7(日) 総会 お花見(サンフォルテ・富岩運河環水公園)
4 /21(日) 三蛇山(さんじゃやま)水芭蕉・曽々木(そそぎ)海岸千体(せんたい)地蔵(じぞう)・輪島(わじま)朝市(干支記念)
5 /12(日) 宝達山(ほうだつさん)・石川県森林公園(八重桜)
6 /30(日) 白木峰(しらきみね)クリーンハイク(ニッコウキスゲ)
7 /28(日) 立山(雄山(おやま)大汝山(おおなんじやま)・弥陀ヶ原(みだがはら)みくりが池)
8 /24(土) 暑気払い
9 /29(日) 大門山(だいもんざん)・赤摩木古山(あかまっこやま)・見越山(みこしやま)・奈良岳(ならだけ)(五箇山)
10/19(土) 第25回富山県民ボランティア・NPO大会(グランドプラザ)
10/27(日) 地獄谷(じごくだに)野猿(やえん)公園・松代(まつしろ)象山(ぞうざん)地下壕(ちかごう)・小布施(おぶせ)
11/10(日) 呉羽山(くれはやま)城山(じょうやま)・ファミリーパーク(バーベキュー・乗馬体験)
12/14(土) 忘年会
2 / 2(日) 第12回スキー(ブラインド)講習会(立山山麓スキー場)
2 /11(祝) スノーシュートレッキング雪上ネイチャーゲーム(立山山麓)

3 /16(日) 冬季例会(二上山(ふたがみやま))
*納山祭(11月例会)に参加して
                       牧野清美
 3年にわたり雨天中止が続き、3度目の正直ならぬ4度目の正直に願いを込めて、不安定な天気予想を覚悟しながらの納山祭の決行でした。上市町役場の駐車場に集合した参加者35名は、6台の車に分かれて登山口に向かい、視覚障がい者がサポートの皆さんに守られるように出発しました。
 久しぶりの山行らしい山行に少し寒さを感じながらも「がんばるぞ」そんな気持ちがモリモリわき出てきている私でした。1カ所岩みたいに大きな石が道を塞いでいて、やっと人が通れるくらいの道があり、慎重に両手を使いながら進みました。お城を攻め落とされないようにと昔の人が作ったとのこと、そんな色んな話を聞きながらの気持ちの良い山歩きでした。寒いと思っていたのですが歩いているうちに体がポカポカしてきて、着ているものを調節しながら山頂を目指します。
 山頂は360度を見渡すことができる素晴らしい場所でした。雪を帯びた山、黄色く色づく木々、遠くまで見渡せた景色、自然は体中を清々しい気持ちで満たしてくれました。下山は足取り軽く歩きます。途中途中に窓から見える景色のような場面、木々の間から見える情景に歓声を上げながらの下山でした。
 昼食は「おおかみこどもの雨と雪」の撮影に使われた古民家「花の家」の暖かい場所での食事、今回はちょっと豪華な食事でした。古民家のご主人と奥様が準備してくださった暖かいカレ-汁、参加された方々で作ってくださった手作り鍋とご馳走満載、手作り漬物、飲み物、デザ-トとお腹がパンパンになりました。ボランティア県民会議の表彰状と人魚と鳩の記念レリ-フを見せていただきました。サピエ図書館を利用して「おおかみこどもの雨と雪」を点字朗読で聞いていたので、ここで撮影されたのかと話を伺い、振り返っていました。
 大岩山(おおいわさん)に向かいます、私は初めてです。寒修行の様子をテレビで何度か見たことがありました。「この滝のことなのだな、今日の水温も低いのだろうか」そんなことを思いながら眺めていました。階段を上がりお参りをして、目に良いというお茶をご馳走になりました。熱くもなく冷たくもなく、ちょうど良い飲みごろの温度のお茶でした。秘かにこれ以上、悪くなりませんようにと願いながら飲みました。
 行事が全て終わり、雨がだんだん強くなってきました。本当に無事に終わり良かったです。今日もたくさんの方に声をかけていただき、サポートしていただき、楽しい時間を過ごすことができ、本当にありがとうございました。

《事務局から》
◆ 消息  訃報
 道端 友子(みちはな ともこ) 氏(富山市)  7月 逝去
 中宮 不見子(なかみや ふみこ) 氏(氷見市) 8月 逝去
 能島 進(のじま すすむ) 氏(入善町)    9月 逝去
 高木 ちゑ(たかぎ ちえ) 氏(入善町)    11月 逝去
 山村 康藤(やまむら やすふじ) 氏(射水市) 11月 逝去
 ご冥福をお祈りいたします。
◆ 受賞
県知事表彰(社会福祉事業活動者)
 萩中 俊一(はぎなか しゅんいち) 氏  H24.10.16
黄綬褒章
 利田 宗之(りた むねゆき) 氏     H24.11.13
 受賞おめでとうございます。

◆ 時事暦(7月~12月)
7月1日(日) ボランティアと利用者交流会「富山県広域消防防災センター 四季防災館・富山市体育文化センター」 利用者約60名 ボランティア約60名
7月15日(日) センタークリーン作戦 約40名
8月19日(日) 第38回富山県視覚障害者球技大会〔グランドソフトボール・サウンドテーブルテニス〕(南部中学・センター)
8月29日(水)~31日(金) 第58回全国盲女性研修大会(大阪市・リーガロイヤルホテル) 2名
9月15日土)・16日(日) 宿泊研修〔視覚障害者と家族激励大会・山岳歩行訓練・研修会〕(下新川郡・ホテルおがわ)
 講演「生きがいは夢創り~夢創塾物語」 講師 夢創塾 塾長 長崎喜一氏 約70名
9月21日(金)~23日(日) 第58回全国盲青年研修大会(神戸市・神戸市立総合福祉センター) 3名
9月23日(日) 〔第12回富山県障害者スポーツ大会 ― フライングディスク競技会〕(県総合運動公園)
9月30日(日) 第36回視覚障害者文化祭・福祉機器展 「クラシックギターとフルートコンサート」 ギター 大橋俊希氏 フルート 増山理恵氏 会員125名 ボランティア42名
9月末    会報「ゆきしろ」第66号発刊
10月8日(月) とやまふれあいフェスティバル(グランドプラザ) ボランティア4名 職員4名
10月13日(土)・14日(日) 第21回北信越サウンドテーブルテニス大会(福井県) 7名
10月13日(土)~15日(月) 〔第12回全国障害者スポーツ大会〕(岐阜県) 1名
10月21日(日) 第61回点字競技会・第13回パソコン競技会
       点字競技 16名・パソコン競技(携帯電話含む) 6名
10月28日(日) タンデム自転車体験会(県障害者スポーツ活動活性化事業) 会員19名 ボランティア17名
11月4日(日) 〔第12回富山県障害者スポーツ大会 ― 卓球競技〕(県総合体育センター)
11月18日(日) 三療研修会(センター) 34名
       講演「言葉でわかるあなたの人生」 講師 木内哲子氏
12月2日(日) 更生相談会、意見交換会(センター) 約60名
12月3日(月)~9日(日) 障害者週間

◆ 平成25年度の主な行事予定
4月7日(日) 理事会・支部長会(センター)
4月21日(日) 〔第13回富山県障害者スポーツ大会 ― 水泳競技〕(東富山温水プール)
5月12日(日) 〔第13回富山県障害者スポーツ大会 ― 陸上競技〕(県総合運動公園陸上競技場)
5月18日(土)・19日(日) 第40回北信越グランドソフトボール大会(富山県)
5月26日(日) 理事会・評議員会(センター)
6月9日(日)  定期会員総会(センター)
6月21日(金)~23日(日) 第66回全国盲人福祉大会(福井県)
6月     出会いと語らいの集い(未定)
7月7日(日) ボランティアと利用者交流会(未定)
7月14日(日) センタークリーン作戦(センター)
8月18日(日) 第62回点字競技会・第14回パソコン競技会(センター)
8月28日(水)~30日(金) 第59回全国盲女性研修大会(山口県)
9月7日(土)・8日(日) 宿泊研修〈家族激励大会・山岳歩行訓練・研修会〉(富山市)
9月21日(土)~23日(月) 第59回全国盲青年研修大会(静岡市)
9月22日(日) 〔第13回富山県障害者スポーツ大会 ― フライングディスク競技〕(県総合運動公園)
9月     出会いと語らいの集い(未定)
9月末    会報「ゆきしろ」第68号発刊
10月6日(日) 第37回視覚障害者文化祭・福祉機器展(センター)
10月12日(土)~14日(月) 〔第13回全国障害者スポーツ大会〕(東京都)
10月19日(土)・20日(日) 第22回北信越サウンドテーブルテニス大会(石川県)
10月20日(日) タンデム自転車体験会(県障害者スポーツ活動活性化事業)
10月27日(日) 第39回富山県視覚障害者球技大会〈グランドソフトボール・サウンドテーブルテニス〉(視覚総合支援学校)
11月10日(日) 〔第13回富山県障害者スポーツ大会 ― 卓球競技〕(県総合体育センター)
11月17日(日) 三療研修会(センター)
12月1日(日) 更生相談会・結婚相談室・意見交換会(センター)
12月3日(火)~9日(月) 障害者週間
2月     北信越ブロック会議〈代表者会議・青年部協議会・女性部協議会〉(新潟県)
3月30日(日) 理事会・評議員会(センター)
3月末    会報「ゆきしろ」第69号発刊

通年事業 … 点訳・朗読奉仕員養成・研修事業、外出介護サービス指定事業者情報提供事業、生活訓練事業、盲導犬育成事業、結婚相談事業、福祉機器相談事業、三療研修会、IT推進員派遣事業

《編集後記》
                    文化部長 上坂敏彦
 この「ゆきしろ」67号が届く頃には、あの、東日本大震災から2年が過ぎていますね。
塘添副会長が視察された塩屋埼灯台には、私もその1ヶ月前に行ってきたな!と、思いつつ、日常生活の中ではつい、震災のことを忘れています。
まだまだ復興はほど遠く、気持ちの中にそのことをとどめ置きたいものです。
 素早い情報には対応できていませんが、知恵袋のような投稿などは、いつでもお待ちしています。「ゆきしろ」はみなさんの手で作られております。


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