会報「ゆきしろ」66号
(平成24年9月発行)

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     第66号
(発行者)
 社会福祉法人 富山県視覚障害者協会
 〒930-0077
  富山市磯部町3丁目8番8号
 電話 (076)425-6761
  Fax (076)425-9087
 Eメール:bcb05647@nifty.com
 Homepage:http://www.toyama-ssk.com
(発行責任者)
 会長  中西 美雄


 上の題字は 鶴木大壽 氏によるものです。

【ゆきしろ(雪代)の意味】

 雪国にあって、大地が春の雪原と接する部分で静かに融けはじめ、しずくとなり、やがてかすかな流れをつくり、それが集まって春のはじめの雪どけ水となって音をたてて大河に注ぐ様を、古くから俳句における春の季語として「雪代(ユキシロ)」とよばれています。
 当協会が、このしずくが集まって大河をつくるように大きく発展していくよう、願いを込めて命名いたしました。

   【ゆきしろ66号 目次】

◆巻頭言  会長 中西美雄
◆平成23年度日盲連北信越ブロック会議  中西美雄
◆北信越ブロック青年部協議会  定塚剛成
◆北信越ブロック女性部研修会及び協議会  柳田信子
◆第39回北信越グランドソフトボール大会  高橋克人
◆第65回全国盲人福祉大会《千葉大会》  中西美雄、塘添誠次
◆理事会・評議員会・定期会員総会  布尾英二
◆富山県における同行援護の実態調査  塘添誠次
◆富山県民福祉推進会議「福祉のまちづくり宣言」  中西美雄
◆日盲連〈千葉大会〉旅行日記  小林忠之
◆事務局から 消息
◆時事暦
◆平成24年度主な行事予定
◆編集後記  文化部部長 上坂敏彦

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《巻頭言》                     会長 中西美雄
◆「同行援護」で街中を闊歩することを夢見て
 「社会保障と税の一体改革」の採決をめぐって民主党内は一触即発、分裂の危機を迎えています。さて、国が大事か、党が大事か、それとも選挙が大事かの話のように思えてなりません。本質はどこにあるのだろうか。そして、分裂は??
 協会においては、9年間あまり顧問として多方面から支えて下さった衆議院議員の長勢甚遠(ながせじんえん)先生が引退を発表されました。協会の節目節目で知恵をお貸しいただき、問題が起これば全力を挙げてその解決に努力していただきました。
 22年には五十嵐先生を協会顧問に推薦していただき、「銀行での代筆・代読」「センター内に用具展示場を設ける」の事業に大きなお力添えをいただいたところですし、昨年からの「同行援護」に対しても大きく関わっていただきました。代議士を引退されましても協会の後ろ楯としてお力添えをいただきますようにお願いいたします。
 平成24年は、どうしても「同行援護」の充実が課題となるでしょう。2月に県内15市町村に「同行援護の実施状況」についてのアンケート調査を行いました。その結果多くの市町村において、実施状況に差があることが分かりました。
 そこで、改めて3月の下旬にその15市町村の窓口を訪問し、アンケート結果について話し合いをさせていただきました。そして、3月末日には幾つかの市町村から、先のアンケートに対する答えを訂正し、改善された答えを再提出していただくことができました。
 この市町村の窓口を訪問したことにより、同行援護制度そのものを理解していただいたり、視覚障害者の社会参加を進めていく上で、「同行援護」がいかに大切なものであるかを理解してもらえた事も大きな収穫でありました。
 とはいえ、まだまだ、課題は多くあります。まず、「同行援護」に参入している事業所が少ないこと。ガイドヘルパーそのものの絶対数が足りないこと。一部市町村において、病院内の援護を認めていないこと。宿泊を伴う利用にも疑問符がついていること。などなど。
 また、特に富山県などのように車社会で、公共交通機関の発達していない地域において、「ガイドヘルパーが運転する車に同乗できない」という規定は早く撤廃してもらいたいと思います。この規定は、事業所にも利用者にも、経済的にも時間的にも大きな損失であるからです。
 しかし、今までの移動支援に比べると、その使いやすさは格段に改善されています。このサービスを会員みんなで支え、より使いやすいものにしていけたら、視覚障害者の社会参加も一気に進むものと信じます。
 「障害者自立支援法」を「障害者総合支援法」と、呼び名だけを変えたような法律が、6月20日に成立しました。この法律は、多くの問題点を抱えています。まず、平成22年1月に「障害者自立支援法違憲訴訟団」と国とが裁判所の仲介を得て交わした和解文書を無視していること。平成23年8月に障害者制度改革推進会議総合福祉部会がまとめた「骨格提言」の多くが反映されていないことです。
 仮にも法の番人である裁判所との和解文書の不履行は法治国家であることさえも疑われる行為だといってもいいでしょう。これからは、3年後までの見直し条項に向けて日盲連を強く支持していかなければならないと思います。
 一方、富山県においては、「障害者差別禁止条例」の骨格が固まり、いよいよ県議会に上程される運びとなってきました。障害者への差別や苛めは、我々の子供の頃に比べると雲泥の差で小さくなっています。が、その時代によって差別や苛めの軽重は異なっていて、一概に断定できないとは思いますが、経験者の一人としてそんな感じを受けています。
 弱い者に対する差別や苛めがなくなり、障害がある人もない人も人として生き、冷ややかな視線に晒されずにすむ世の中が一日も早く到来することを期待したいものです。
 平成22年9月から、富山県内の金融機関窓口において「身体障害者手帳」を提示するだけで、行員による代筆代読、行内の誘導、ATMを利用するときのお手伝いなどをしていただけることになりました。各銀行において行員に対する研修会や講習会を実施して視覚障害者への対応を徹底教育されています。
 しかし、利用者が少ないとだんだんに風化していく恐れがあります。せっかくの運動成果を風化させず、もっと前進させるためにも銀行の窓口を訪れていただきたいと思います。
 それから、昨年よりセンターの2階に福祉用具の展示場を設けています。品数も徐々に増えています。一度実際の品物を手に取ってご覧いただき、より生活を便利に、楽しく、そして、移動が安全にできる補助機器などがあります。カタログ代わりに利用していただければ、この事業の意義も高まるものと思います。
 最後に平成25年2月16・17日に「北信越ブロック会議」が富山県の当番で開催されます。この機会に視覚障害者の福祉運動がどのような経緯で進められているか、日盲連の役割は何かなどを知っていただく良い機会かと思います。ぜひ多くの会員の皆さんのご参加をお待ちしています。
 また、平成25年6月21・22・23日に福井県において「第66回全国盲人福祉大会」が開催されます。これは、各ブロック会議や県、政令指定都市や各協議会で議論された問題点が、全国大会の場で討議され、合意を得た問題について厚生労働省など関係機関(JR、放送機関、機器開発メーカーなど)へ陳情されていきます。このプロセスを知ることにより、社会福祉運動の大切さを実感していただければ幸いに思います。
 この二つの大会を、協会を挙げて推進して行きたいと思っています。皆様のご理解とご協力をお願いいたします。

《大会参加報告》
◆平成23年度日盲連北信越ブロック会議
                        会 長 中西美雄
 平成23年度の「北信越ブロック会議(代表者会議、青年部協議会、女性部協議会)」は、去る2月18日(土)・19日(日)の二日間にわたり、石川県視障協の担当で、金沢市の湯涌(ゆわく)温泉「かなや」を会場に開催された。富山県からは、付き添いと事務局を含め総勢22名で参加した。
 18日は、昨日からの大雪の影響で、各県の到着が遅れたことにより、開会式が30分遅れで始まった。その後予定されていた、日盲連の笹川会長が欠席されたため、北信越ブロック長の小山福井県会長が、自らが運営しているデイサービスや作業所などの建設までの苦労話や経営方法などについて、約30分講演された。

1 代表者会議
 各県の協会代表者や事務局長などが出席して15時から代表者会議が始まった。議長に、いずれも石川県の加藤純(かとう じゅん)氏と後石原幸守(ごいしはら こうしゅ)氏を選び議事に入った。
1. 小山ブロック長による日盲連の動きについての報告では、笹川会長が東日本大震災の慰霊に、宮城県、岩手県、福島県を訪問されたこと。日盲連負担金が、50パーセント増額され7万5千円になったことの経過報告。最も驚いた事は、笹川会長が今季限りで引退される旨の発言があったことなどを報告された。
2. 田村長野県理事長による「あはき協議会報告」では、協議会としての集まりは昨年6月の日盲連島根大会以来開催されていないため、さしたる動きがないとの報告があった。
3. 松永新潟県理事長からは、「総合企画審議会報告」として、6月の日盲連島根大会で決議された議案を関係官庁へ陳情したこと。11月には平成24年度の事業計画を立案決定したことなどが報告された。
4. 来年度開催の「第65回全国盲人福祉大会〈千葉大会〉」へ提出する北信越ブロックからの議案について審議が行われた。今年は石川県提出の「国道の歩道に融雪装置(ロードヒーティングなど有効な対策)の設置を要望する」と、富山県提出の「同行援護の利用に当たってガイドヘルパーが運転する車での移動を認めてほしい」の2題に決まった。
5. 「光の泉賞」の選考では、石川県視障協副理事長の柳鉄志(やなぎ てつし)氏の奥様で柳よし子さんに決まった。
 この後、時間がなくなり、「各県の情勢報告」とそれに対する質疑応答を省略して終了した。
 なお、「光の泉賞」の候補者となった柳夫妻は、富山県出身で私より4学年下の人であることを紹介しておきます。

2月19日(日)
 午前9時より「地方に必要な福祉サービスは何か」と題してシンポジウムが開催された。ここでは、各県より1名の代表者がそれぞれの県の抱えている問題について報告した。
1. 富山県からは、塘添副会長が同行援護の問題点について(特に、ガイドヘルパーが運転する車での移動の必要性について)、現状を報告して、何とか可能になるよう各県が力を合わせて運動をしていこうと呼びかけた。
2. 新潟県からは、水野千津子副理事長が障害者の自立と社会参加を進めるために創設された「同行援護制度」の円滑な運用を要望された。また、近くにも「交流プラザ」があって、老人や他の障害者などが楽しく一日を過ごしている。しかし、われわれ視覚障害者はその施設には入りにくいし、歓迎もされない。私たち視覚障害者も自由に出入りできる施設が必要である。と訴えていた。
3. 長野県の田村理事長は、高齢化社会にあって視覚障害者もその例外ではなく、年を重ねるにつれ不安が高まってくる。高齢になってからの生活の場を選択できるようにしてほしい。
4. 福井県の坂部副会長は、福井市内の障害者サービスについて報告された。また、災害弱者である障害者への対応として「町内会などで行われる避難訓練に障害者が加わっていない現状を指摘し、地域における障害者とのかかわりを密にしなければならない」と訴えていた。
5. 石川県の後石原(ごいしはら)理事は、全市町村における「同行援護」の実施状況にふれ、行政と利用者とが協調して運用していかなければ全県等しいサービスにはならないとされた。

 10時から特別講演として、石川県選出の衆議院議員で現国土交通副大臣の奥田建(おくだ けん)氏による「視覚障害者の明るい未来(国土交通省の取り組みの現状と今後の展望)」のテーマで約1時間の講演があった。講演の中で、駅の可動柵の整備を進めることや視覚障害者用の移動システムを積極的に整備して行くことなどの話をされた。
 11時過ぎから全体会議が開かれ、昨日の会議の報告が行われた。引き続き閉会式があり、二日間にわたって開催された北信越ブロック会議が閉会した。
 来年は、富山県が開催担当となります。日盲連の下部組織である北信越ブロック、それを構成する北信越5県の視覚障害者協会の現状と課題などについて活発に意見交換がされます。5年に一度の本県開催でもありますので、一人でも多くの皆さんの参加をいただいて盛大に開催できますように願っています。皆さんのご協力をお願いいたします。

◆北信越ブロック青年部協議会
                    青年部 定塚剛成(たかなり)
 平成24年2月18日(土)、石川県の湯涌温泉「かなや・鶴の間」において「平成23年度日盲連北信越ブロック青年部協議会」が開催されました。参加県は新潟、福井、富山、石川の4県計12名で行いました。なお長野県は青年部員が居ない、前青年部長の高齢化などの事情により、参加はありませんでした。
 会議は開催県の小坂(こざか)部長の挨拶の後、石川県の泉さんを議長に選出し、議事を進めました。各県自己紹介の後、提出議題の審議となりました。
 提出議題は石川県から出された「部員発掘 新しい友を求めて」のみでした。何年も青年部をやっているが、「なかなか新しいメンバーの発掘が難しい」「若い人が青年部へ入ってこない」という理由から提出されました。
 まず初めに各県の状況を報告してもらいました。
新潟県:
 鍼灸マッサージ組合と連携して講習会を開いたり、パソコン教室を開いたりし、お知らせは福祉の雑誌等に案内を出したり、呼びかけたりしてみたが、あまり人が集まらなかった。
福井県:
 青年部活動の日を設けて、毎年スキー、STT、ウォークラリーなどを企画し、お知らせは支部長を通じてしてみたり、盲学校の卒業生に話してみたりした。企画によって集まるメンバーや年齢層にもばらつきが見られる。
富山県:
 バーベキュー、ブラインドテニス講習会、新年会などを企画している。だいたい14、15人ほど集まる。興味がある人なら自由に参加でき、晴眼者の協力も得られる。
石川県:
 STT大会を社会人で企画し、盲学校生徒に呼びかけて参加してもらった。反応もなかなか良かった。その他:社会人のグランドソフトボールも盲学校の生徒の協力が得られている。

 次に全国の青年協の状況報告がありました。その中で、全国の青年部もだんだんと高齢化しており、日盲連青年協議会が作成したリーフレットを全国に配布しているので、各自治体の福祉課窓口に置いてもらい、青年層の拡大に繋げてほしいとの話もありました。また、全国的に青年部員増が難しい理由として、青年協ができた頃は職も福祉も不十分だったが、今はある程度整ってきた状態であるからではないかという話もありました。
 その後、学校卒業段階の今の青年層には何に興味を持っているのだろうという話になりました。ディズニーランド、娯楽(ゲーム、パチンコなど)、安い温泉、海外旅行などがあげられました。
 また、興味がないものとしては、組織そのものではないかという声もありました。その理由として、STTやグランドソフトボールなどのスポーツでは会費を取られても使い道がはっきりしているが、青年部という組織に参加して会費を取られても使い道が分からないため、なかなか参加しないのではないかという声もありました。
 また青年部の行事だと思って参加したが、自分より高齢の人の世話をさせられたのでもう行かないとの声もありました。また身体障害者手帳を所持している弱視(3級~6級)の人から見て、自分たちが受けられる福祉サービスがあまりないため、所持しているメリットが感じられないという声もありました。
 最後に今後青年部組織を維持していくためにどんな企画が必要かを話し合いました。サイトワールドのような福祉機器展は弱視者に焦点が当たる傾向にある。またネットワークサービス(例えばフェイスブックなどのソーシャルネットワーク)やネットショッピングなど、使いこなせる人とそうでない人の格差があるため、今後使える人が使えない人に教えることも必要ではないかという意見もありました。
 その後、次期北信越ブロック全国委員を次期開催県から推薦し、定塚が全員一致で選任されました。
 来年度は富山県が北信越ブロック会議の開催県となります。平成25年2月16・17日(土・日) 富山県「いこいの村 磯波風(いそっぷ)」で開催されます。多くの参加者があることを期待し、報告を終わります。

◆北信越ブロック女性部研修会及び協議会
                        女性部長 柳田信子
 金沢の奥座敷といわれております湯涌温泉の「かなや旅館」で、女性部会員57名が参加して、まず澗潟(まがた)女性部長さんの挨拶のあと、今回は「もしも災害にあったなら」のテーマで各県代表者5名の発表が行われました。
1.富山県
 私は、自然災害について弱視者の立場から話します。昨年は多くの災害がありました。私の住んでいるところは幸いにも災害はありませんでしたが、今回のテーマをきっかけに地域の防災訓練に参加しました。
 近所の方と避難経路を歩いて確認し、訓練を通して、自分は何が出来て何が出来ないか周囲の人にわかってもらえる良い機会だと思いました。日頃から近所の人とコミュニケーションをとり、近所づきあいを良くしておくことが大事だと思いました。
 また、災害時カードを記入しておくことも大切です。普段から災害のことに対して関心を持ちながら生活することが一番大事だと思いました。
2.新潟県
 私は弱視者ですが、最近は初めての場所などは見えにくく階段を踏み外したり、子供の学校の行事にも困ることが多くなった。
 自分が視覚障害者であることを近所の人に知られたくないので、防災訓練が地域でありましたが、居留守をつかって参加しませんでした。今思えば、参加して自分のことを理解してもらえる良い機会だったと思います。
 そこで、災害時に自分で出来ることを考えました。避難時持ち出し袋を作っておく。家の中の安全対策。近所との連絡を日頃から取り合うようにしておく。災害時の家族間の連絡方法を話し合っておく。
3.長野県
 昨年3月の東北大震災で子供が災害に遭いました。でも、家の家具が30センチほどずっただけで避難所生活をすることもなく、自宅では水などの不便だけですみました。地震災害やものすごい津波災害をテレビで見て、他人事とは思えません。
 その後、私も長野県の地震で震度5強の地震の被害者となりました。家の中にあちこちとヒビが入り、今後また地震がきたなら家がつぶれるのではと心配です。持ち出し袋を再確認し、家族の絆を深め災害時に備えています。皆さんも、帰られたらすぐに持ち出し袋を準備して災害に備えてほしいと思います。
4.福井県
 私は、弱視者の立場で話します。最近はいろんなところでいろんな災害が起きています。日本でも4年以内に大きな地震が起こるといわれ、帰宅難民ができるといって訓練など行われています。
 それに、原発問題でもいろいろ心配なこともあります。農作物の放射能の安全性でも、心配な点があります。安全な物を口にしたいと思います。近所の方が困っておられるとき、弱視者の私でも、手助けできることもあります。自分で出来る災害対策をし、また持ち出し袋をきちんと確認して玄関近くに置いておくことも大切である。
5.石川県
 全盲の主人と二人暮しですが、もしも災害が起きたらと思うだけで不安でなりません。多分地震が起きたなら家の中で動くこともなく、家が倒壊したらそのままで、何日目かに助け出されても、避難所生活は視覚障害者にとっては、非常に困難な生活です。他の人たちとのコミュニケーションも取れず、生きていくための最低限度の食べること、排泄のこと、助からなければよかったと思う瞬間があるかもしれません。
 想像すればするほど不安ばかりです。これからは、きちんと防災グッズを揃えて災害に備え、災害のない平和な毎日が続くことを願うばかりです。

 以上5人の発表後、フロアー・ディスカッションが活発に行われて有意義な研修会でした。
 場所を移動して、女性部協議会が行われました。出席者の自己紹介の後、 各県からの全国大会提出議題をそれぞれ討議し、今回はやはり同行援護のことが一番の課題になり、いろいろな面からの意見がありました。そこでもっと視覚障害者に使いやすい制度であってほしいとの思いから、提出議題を「同行援護の地域格差、また事業所サービス格差をなくしてほしい」と決議されました。
 次に全国大会の研修会テーマを、「女性部活動に参加して得たもの」と決めました。各県いろいろな情報交換がありましたが、やはり昨年の大震災後、視覚障害者が今後の災害に対してどのようにしたら良いか、課題の大きい問題のまま協議会は終了しました。

◆第39回北信越グランドソフトボール大会
            グランドソフトボール部主将 高橋克人(かつひと)
 北信越グランドソフトボール・長野大会に、監督・選手・コーチャー総勢19名で参加しました。
 抽選で初戦の相手はお互い手の内を知り尽くしている石川県と決まりました。試合は予想外の打撃戦になり、4対4で迎えた終盤、石川の二番バッター中村選手にツーランホームランを打たれました。「やられた」と言うより、まだまだ点を取り返す自信はあったのですが、焦りもあり、4対6で残念ながら負けてしまいました。
 すぐに新潟県との三位決定戦が始まりました。初回に3点先取されたときは、まずいパターンになったと思いましたが、その裏の攻撃で一挙8点を取る猛攻で逆転に成功。富山ペースで試合が進み8対4で逆転勝ちしました。連敗だけはしたくなかったので一安心しました。
 登録選手すべて試合に参加でき良かったですし、それ以上に暑い中、白口(しらぐち)さん、湯浅(ゆあさ)さん、越後(えちご)さん、山内さんに至っては各走塁ベース上で全盲打者を誘導してもらい、本当に選手一同、助かりました。体力的に心配しましたが、まだまだ元気だということが証明されました。
 去年の北信越は富山大会が雨天中止となりスッキリしない一年間でしたが、次回富山大会まで頑張ろうと思った次第です。

◆第65回 全国盲人福祉大会〈千葉大会〉
          会長・中西美雄 副会長・塘添誠次(とうぞえせいじ)
 大会は、平成24年6月7日(木)~6月9日(土)、アパホテル&リゾート〈東京ベイ幕張〉において、全国から約2千人が一堂に会し、「私たちを取り巻く諸問題について論議し、とりわけ『障害者権利条約』『障害者基本法』『障害者総合福祉法』等の行方を注視しつつ、今後の方針を定め、自立と社会参加の促進を図ること」を目的として開催されました。
 6月7日、富山空港午前8時50分発の第2便で、吉野さんの付き添いで中西会長と塘添が先発し、羽田空港へ飛び、空港からの直通バスで千葉県入りし、午後からの会議に出席しました。
 一方、富山県からは1日遅れの8日の朝に富山を出発し、2泊3日の旅行団を組み、30名が参加しました。
 今回は、新会長に就任した竹下義樹氏を中心とした新執行部体制での開催であり、竹下会長は、「日本の福祉は世界に比べても決して劣るものではない状態にまで進歩してきたという思いを持っている。これまでの福祉はヨーロッパに学べ、アメリカに学べという言い方が非常に強調されてきたかと思う。確かに現時点においてもヨーロッパやアメリカに充分な福祉として肩を並べるところまで行っていない部分もあるかも知れない。
 そういう思いはあるとはいうもののヨーロッパやアメリカにない制度もたくさん生み出してきている。ヨーロッパやアメリカを超えた福祉もたくさんある。これからは逆に今度は日本がヨーロッパの手本となる。更にはアジアに発信していける日盲連となれるように努力したい。」という熱い思いが述べられた中での開催でもありました。
   第1日目(6月7日 木曜日)
1. 評議員会(中西)
 午後1時から団体の会長を評議員とする評議員会が、定員64名の内59名が出席して開始されました。
 初めに、4月から日盲連の会長に就任された京都府の竹下義樹新会長が、「先人の力によって発展した日盲連を守り、発展させて行きたい。」と抱負を述べられ、更に「障害者総合支援法」にふれ、「自立支援法に代わる『障害者総合支援法』は、私たちの要望を満たしているものではない。現在参議院で審議されているが、仮に成立しても私たちの要望が取り入れられておらず、真の障害者が過ごしやすい社会になるまで、他団体と協調して意思を貫いていきたい。」と力強く挨拶されました。前会長の笹川(ささがわ)吉彦(よしひこ)氏は、名誉会長に就任されました。
 議事に入り、議長に青森県の佐々木(ささき)秀勝(ひでかつ)さんと愛媛県の和田(わだ)浩一(こういち)さんを選び審議に入りました。最初に平成23年度の事業報告が提案され、質疑応答がありました。
 その中で、
Q:各団体にある会員名簿を日盲連に集め、避難時の安否確認に利用しては?
A:東日本大震災では、東北地方の団体の名簿を使ったり、施設にある名簿を使って安否確認をしています。
Q:評議員の数が人口に比例していないのはなぜか?
A:評議員は、定款により各団体から1名になっています。代表者会議の方は、会員数を考慮しています。
 採決の結果、出席59名の内53名の賛成で承認されました。続いて、膨大で難解な平成23年度決算報告が上程されました。
 審議に先立って竹下会長から、「昨年、会費の値上げをしてもらったおかげで、ここ何年来の赤字決算が黒字となりました。会計上は9万円となっていますが、実際には1千万円を超えています。その大部分は、職員の退職金に積み立ててあります。これまでは、退職金の積み立てはなかったのですが、これによって退職金の積み立てができました。」という報告がありました。
 昨年、赤字解消ということで50パーセントの会費を値上げしたことに対し、質問が集中しました。
Q:23年度に会費を減免されている団体の数とその内容は?
A:減額は3団体、免除は4団体です。減額とは、値上げした分で、免除は会費全額です。免除の対象は震災地域です。
Q:弱小な団体は会費負担が非常に困難である。実会員数にならないか?
A:会員数を減らせば負担が軽くなる。それで足腰が強くなるんでしょうか?会員数の小さな団体にも会費の割り振りはしています。
Q:値上げされた会費総額が200万足らずですが、1千万円を超える黒字となるのなら値上げの必要がなかったのでは?
A:負担金は上げなくてもよかったということはありません。経費を節約したこと、賞与やパートの賃金をカットしたことなど。寄付金が大きかったこと、会費を値上げしたことでこうなっています。
 続いて東日本義捐金会計報告があり、その数字は、収入5110万円、支出3945万円、残金1148万円で、義捐金は7団体へ送られています。採決の結果57人の賛成があり承認されました。
2. スポーツ協議会(塘添)
 議事に入る前に、昨年の全国障害者スポーツ大会のグランドソフトボールで優勝した三重県チームに優勝旗と賞状が手渡された後、通信競技大会(対象競技は陸上の50m音(おん)競走と100m走、水泳の50m自由形)の入賞者の表彰式がありましたが、富山県から今回はエントリーをしていなかったので対象者はいませんでした。
 引き続き議事に移り、慣例により議長は開催地の千葉県、副議長は次期開催地の福井県の方が選出されました。
 資格審査では、61団体中出席39名、委任状10名、欠席12名で過半数以上の出席があり、会議の成立が伝えられ議事に入りました。
 議事では、平成23年度事業報告、同決算報告、監査報告、平成24年度事業計画(案)、同予算(案)が提出され、活発な討議が行われ承認されました。
 その質疑内容(一部)は、
1. 会費の納入を手渡しで行うことによる不手際が生じているので、今後は必ず振込用紙を用いての納入にする。
2. 日盲連に加入している団体は、スポーツ協議会に必ず加入し、会費を納入しなければならない。
3. 平成23年度の収支決算報告書の数値が合っていない箇所が見つかり、後日修正して各団体に送付する。
4. 日盲連が主催するスポーツ競技会には、日盲連の会員でなければ参加できないことを確認。
 以上ですが、今回の協議会は都合により大橋会長が欠席でしたので、副会長の浜野さんがその代行を務められ、立派に会議を運営されました。
 役員改選では、鈴木副会長が顧問に、事務局を担当していた加藤氏が副会長を兼務することとなり、大橋会長、浜野副会長以下の役員は留任となりました。尚、役員に日盲連の理事が不在となった件については、スポーツ協から本部へ依頼をすることになりました。
3. あはき協議会(中西)
 15時15分より栃木県の須藤(すどう)平八郎(へいはちろう)氏の総合司会のもと、出席者62名で開催されました。
 竹下日盲連会長は、自身も弁護士になる前は11年間ほど病院マッセルや治療院に勤めていたことを紹介されました。
 更に竹下会長はこれからの情勢について、「今月中に医制審の下部に柔整に関する専門委員会と、あはきに関する専門委員会ができます。あはきに関する委員会では、最近増えつつある保険取扱い件数に関すること。往療料の低減。医療の周辺における制度の一本化。など耳に痛い問題もありますが、これをチャンスとして、保険取扱いを償還払いから委任払いに制度化できないか。保険取扱いにおいて病院と並列的に「あはき」もできるようになるかだと思っています。
 この専門委員会にあはき関係者を何人送り込むことができるかであります。視覚障害あはき師の職業的自立と国民に対する貢献度を高めるために日盲連とあはき協議会が一致団結して運動を続けていきます。」と述べられました。
 議長に東京都の渡辺(わたなべ)哲宏(てつひろ)氏を選び議事に入りました。平成23年度の事業報告と決算報告がありましたが、昨年とあまり差異がありませんので、事業報告の冒頭の文章を紹介します。
 あはき協議会は、按摩マッサージ指圧、鍼、灸を業(ぎょう)とする視覚障害者の職業的自立と生活の安定を図るために、日盲連および、その加盟団体と協力し、一丸となって問題解決に努めた。
 平成22年は、江戸時代に視覚障害あはき師の職業的基礎を築いた杉山(すぎやま)和一(わいち)検校生誕400年に当たり、盛大な記念イベントが繰り広げられた。杉山検校以後、あはき業は連綿として、視覚障害者の職業的自立の手段の主軸であり続けてきた。
 しかし、長年に渡るデフレ経済に世界的不況が加わり、また、晴眼あはき師の急増などにより視覚障害あはき師への需要は落ち込み、あはき業の職業的基盤が揺らぎつつある。その原因は、晴眼鍼灸師養成学校の急増。無免許者・無資格者の横行跋扈、柔道整復師による健康保険不正請求の三つを上げています。
 質疑の中から一例を上げてみますと、損害賠償保険の支払額と内容についての質問がありました。
 答えは、件数が8件で総額350万円が支払われています。その中で大きな事故として、骨粗しょう症の患者にマッサージ治療を行ったところ、骨折をさせてしまいました。その賠償額が300万円であったということです。
 また、これら損害保険は参加団体が勧誘しているのですが、「その手数料の一部でも還元できないか」との質問に対し、「もともと、この手数料は3~5パーセントと低い。これを日マ会と分割しているので団体までは考えられない」とのことでした。
   第2日目(6月8日 金曜日)
 「第49回全国盲人代表者会議」
 ここでは、10時から11時30分に全体会議、昼食休憩後、12時30分から15時まで分科会、15時15分から16時30分に再び全体会議が行われます。
 全体会議の議長は日盲連の時任(ときとう)副会長、副議長は千葉県の伊藤副会長が選出され議事に入り、平成23年度の事業報告と運動の成果を次のようにまとめられました。
1. 移動支援の個別給付化(同行援護)については、厚生労働省と意見交換を重ねた結果、本連合が求めてきた全国一律の事業として、昨年10月1日にサービスが開始された。準備期間が短かったこともあり、サービス開始後、混乱が生じたため、本連合に同行援護110番を設置し、対応に努めた。
2. 障害者制度改革については障害者制度改革推進会議や総合福祉部会、差別禁止部会に委員を派遣し、視覚障害の特性を改革に反映させるよう努力した。
 また、障害者基本法の改正案が昨年7月29日に参議院本会議で可決され成立した。改正にあたっては日本障害フォーラム(JDF)に参加し、障害者の意見を取り入れるように要望した結果、一定の修正がされるとともに、今後の改善を進めるための付帯決議が行われた。
3. 金融機関において行員による代読・代筆が未だに行われていなかった問題については、金融110番に寄せられた声を金融庁に提出した結果、すべての金融機関において、行員による代読・代筆が行われるように、金融庁から金融機関に指導がなされた。
4. 視覚障害者の職業の中心であるあはき業を取り巻く諸問題解決のため設置された、あはきプロジェクトにおいて、7回の検討会が開かれ、問題点の整理と解決への道筋を明らかにした。また、就労に関する厚生労働省の各種委員会や研究会に委員を派遣し、視覚障害者の就労促進のために必要な改善や政策を提言した。
5. 東日本大震災で被災された福島県・宮城県・岩手県の3県を訪問して、状況を伺ったり、被災者からヒアリングを行い、その要望をまとめて関係省庁に陳情した。これと並行して、全国の加盟団体や一般の方々も含めて募金活動を行い、被災者の安否を確認し、支援活動を行ってきた。
 一方、厚生労働省からの補助事業として日盲連が「視覚障害者の防災避難マニュアル」を5千部作成し、全国の行政機関や視覚障害者団体及び視覚障害関係機関に配布した。
6. 「視覚障害者の自転車事故に関するアンケート調査」を行い、その調査結果をふまえて、関係機関へ視覚障害者の安全な歩行が確保できるように要望した。
 平成24年度の運動方針は、後述の決議に反映されていますのでここでは省略します。以下は生活及びバリアフリー分科会の討議内容です。
1. 生活分科会(塘添)
 この分科会では、障害者総合支援法、同行援護事業、災害支援、障害福祉サービス、その他の要望事項について審議し、採択していきます。
 北信越ブロックからは、「同行援護事業においてガイドヘルパー移動時の車での活動を認めるよう要望する」という提出議題に対し、竹下会長からは「ガイドヘルパーが運転する車の利用は可能である」という説明がなされました。しかし、これは事業所からは利用料金は請求できないのです。それでは殆どの事業所が承知してくれないし、自治体も可能とは言いません。やはり利用料金を請求できるようにならなければ本当に可能とは言えません。
 富山県からは、「障害者の個人情報の開示ができるように要望する」という提出議題に対し、平常時での開示は絶対に無理である。非常時の対応のあり方においてのみどのようにするかを考えていかなければならないということでした。
 以上2題を含め、提出されていた45題全てが一部修正を加え採択されました。
2. バリアフリー分科会(中西)
 12時30分より70人の参加によりバリアフリー分科会が開催されました。座長に日盲連理事の及川(おいかわ)清隆(きよたか)氏と千葉市の高梨(たかなし)憲司(けんじ)氏を、助言者として鈴木副会長と岡田(おかだ)正平(まさひら)理事を選んで全国の団体から提出された議案について逐条審議が行われました。
1. 「安全な移動の確保について(13題)」の審議が行われました。
 ここでは、鉄道駅やホームでの安全柵の要望が多かったです。中でも、ホームからの転落事故をなくするためのホームドアの設置の要望が強くありました。他には「乗降客の少ない駅でも列車の種別や行き先などを詳細に音声案内してほしい」「道路においては、エスコートゾーン、音声式信号機、弱視者にも判りやすい標識にしてほしい」などの要望がありました。
 新商品として「高齢者・視覚障害者用LED付き音響装置」(P30 参照)の設置促進の要望がありました。
 北信越ブロックから提案された「国道の歩道に融雪装置(ロードヒーティングなど)が設置されるように」、また、石川県から「高速道路のサービスエリアやパーキングエリアなどに設けられている多目的トイレ内に音声案内装置の整備を要望する」の2件は異議なく採択されました。
2. 「情報に関するバリアフリーについて(4題)」
 ここでは、新システムとして「歩行中の地図情報を音声で」「テレビ放送がラジオで聴けるように」「緊急時の字幕放送の音声化」「外国語放送の翻訳化」「スマートフォンなどの新たな情報端末も利用できるようにしてほしい」などの要望がありました。
 鈴木副会長から、加美(かみ)電子とアステムの両社から、テレビのワンセグ放送・AM・FM・緊急地震速報などが聴けるラジオが開発されていること、シナノ電子がPTP1にワンセグ放送を取り込む製品の開発を申し出ているということが報告されました。
3. その他
 ここには、富山県提出の「点訳・音訳ボランティアが使用する点訳・音訳ソフトを無料で配布し、ボランティアの負担を軽くしてあげてほしい」を含めて10題の議案がありました。
 その中で注目される議案について書いてみますと、「高速道路の障害者割引を身体障害者手帳の提示だけで」「全てのハガキに切込みを」「携帯電話で紙幣を判別できるように」「公共機関や交通機関のトイレ内の操作ボタンやトイレットペーパーの位置を全国統一にしてほしい」など、視覚障害者の生活を便利にする要望が多くありました。
 会議終了後、宿泊地である浦安市の「ホテルエミオン東京ベイ」に移動し、8日の朝に出発した富山県の旅行団と合流しました。
   第3日目(6月9日 土曜日)
 “障害のある人の権利条約の早期批准と国内法の整備を”
 “守れ、視覚障害者の命。急げ、駅ホーム可動柵の設置”
 “無免許マッサージの放置は法治国家の崩壊”
 “続けよう、被災者支援。忘れるな、大震災への備え”
の4本のスローガンを掲げ、全国盲人福祉大会が開催されました。
 第一部は式典が行われ、第ニ部の大会議事では、次の決議がなされました。
1. 不況が長引く中で、障害者の困窮が深まっています。とりわけ就労困難な視覚障害者の生活を保障するため、障害基礎年金を1級は月額12万円以上に、2級は月額10万円以上に引き上げるとともに、所得制限を緩和していただきたい。
2. 改正障害者基本法が障害者の基本的人権を十分に保障するために機能するよう運用していただきたい。そのためにも、改正障害者基本法の下で作成される障害者基本計画においては、視覚障害者の意見が十分に反映されるようにしていただきたい。
3. わが国において障害者差別禁止法を早期に制定した上で、障害者の権利に関する条約を批准し、わが国における障害者差別がなくなる社会づくりを進めていただきたい。
4. 視覚障害者の外出時における安全確保は緊急かつ必要不可欠なものです。転落の危険性のある駅ホームにホームドアや可動柵を設置し、階段の段端(だんばな)には色づけをしていただきたい。駅ホームに転落防止柵が設置されるまでは、ホーム上の点字ブロックに必ず内方線(ないほうせん)を敷設していただきたい。
5. 視覚障害者が安全に外出し、移動するためには、交差点におけるエスコートゾーンの設置や音響信号機の設置は極めて有効的なので、全国の交差点に順次設置していただきたい。また、自転車の歩道走行は極めて危険であり、自転車の歩道走行を禁止するとともに、ハイブリッド車等に発音装置を義務化するなどして、視覚障害者の歩行の安全確保に万全の措置を講じていただきたい。
6. 視覚障害者の社会参加と平等を実現するため、情報の点字化、音声化、テレビ放送の副音声化、利用しやすいIT機器の開発など、情報におけるバリアを解消するための施策を実施していただきたい。
7. 視覚障害児者の教育を保障する見地から、障害のある人の権利条約が求めているインクルーシブ教育を、それぞれが生活する地域において統合教育として保障するよう制度の改善を図っていただきたい。
8. 東日本大震災において視覚障害被災者が経験した命の危険と避難所等における困難が繰り返されることのないよう、十分な事前策としての安全対策の推進やマニュアルの作成とその周知徹底を図っていただきたい。
9. 障害者の多くが望んでいる障害者の基本的人権保障を内容とする制度は、改正された障害者総合支援法によっても実現しているとは言えないので、早期の実現を目指し新たな立法作業を急いでいただきたい。
10. 視覚障害者の多くが生業(なりわい)としている鍼灸マッサージ師の生活の安定と国民への十分な貢献ができるようにするため、理療科教育の一層の充実を図るとともに、卒後研修や生涯研修を充実させ、資質向上を支援していただきたい。また、視覚障害を有する鍼灸マッサージ師の就労を困難にするだけでなく、鍼灸マッサージ業の健全な発展を阻害する無免許者や無資格医業類似行為者の取締りを徹底するとともに、柔道整復師による違法な保険取扱いを是正していただきたい。
11. 地上デジタル放送が全国で実施された今日、視覚障害者が地デジ放送を容易に視聴できるようにするため、解説放送や緊急通報の音声化を実現するとともに、地デジ放送が聴けるラジオを開発し安価に購入できるようにしていただきたい。
12. 昨年10月から施行された重度視覚障害者同行援護事業を、視覚障害者の自立と社会参加を保障する制度として充実、発展させるとともに、全国の自治体において一律の内容で実施されるよう指導していただきたい。

 私たちはこの大会に参加し、視覚障害者の現状と今日的課題、福祉に関する情勢と運動の展開等を理解し、また、会場で多くの仲間と集い、連帯の輪を広げました。
 来年は6月21日(金)から23日(日)に福井県で開催されます。北信越の仲間として多くの参加者が望まれます。今年同様旅行団を結成して、観光も計画されると思いますので、共に参加し日盲連大会の雰囲気を味わうとともに、土地の風に触れる旅に参加しましょう。
   福祉機器情報
 第1日目、中西会長が評議員会に出席している間、私は福祉機器などを見て回りました。その中で関心を持った機器を4点紹介します。
① 地デジ対応のワンセグ・オーディオ・レシーバーについて
 テレビがアナログ放送から地上デジタル放送になり、それまでテレビの音声をラジオで聞いていた人が聞けないようになりました。視覚障害者から地デジでも聞けるラジオが欲しいという要望に対し、開発されているものです。
 製品は、縦72mm、横140mm、奥行き30mm、重さ240gですが、まだ開発中で8月頃製品化できるのではないかということでした。9月30日の文化祭に見本が用意できるかも知れません。
② 高齢者・視覚障害者用LED付き音響装置について
 特徴は、「夜間音響装置が止まった時でもボタンを押すと音が出る」「時間延長が可能」「手押しボタンの所にあるLEDの信号がすぐ手元で見える」「音響の発信源が地上1mの高さに設置しているので、音源が聞き取りやすい」ものです。また、「超音波パラメトリックスピーカー」という装置が開発され、それも併設すると、横断歩道の幅が長い箇所や騒音の多い箇所でも、前方からの音源の位置が分かりやすいそうです。
③ スピーチオ・ライフ・ベーシックについて
 「SPコードに記憶された情報を音声化できる」「紙幣の読み上げ」「色の読み上げ」「テキストリーダー機能」「音声メモ機能」「バーコードの読み上げ・バーコードを利用した音声ラベル」「MP3プレーヤー機能」「時計機能」の八つの機能が入っているものです。
 横幅11.5cm、高さ6.5cm、奥行き4cm、重さ170gで、価格は10万9800円です。日常生活用具の給付の対象品目(身体障害者手帳1・2級の人)ですが、基準額を1万円超過していますので、その分は全額自己負担となります。
④ 多機能音声体重計(インナースキャン・ボイス)について
 予め生年月日や身長などの個人データを設定しておきます。設定は、音声誘導がありますので容易に入力できますし、うまくいかないときは、誰かに1回だけ手伝ってもらえば、あとはボタンを押さずに体重計に乗るだけで簡単に使用できます。
 測定した内容は、体重、BMI、体脂肪率、筋肉量、推定骨量、内臓脂肪レベル、基礎代謝量、体内年齢、体水分率の順に音声で読み上げます。又、この機器は4名までが設定可能です。
 価格は1万4600円と安くなっています。日常生活用具の対象品目で1・2級の人が給付を受けられますが、射水市以外の市町村には「視覚障害者のみの世帯またはそれに準ずる世帯」という制限がついていますので、承知しておいてください。

《事業報告》
◆理事会・評議員会・定期会員総会
                        総務部長 布尾英二
1. 平成23年度第3回理事会及び第2回評議員会
 平成24年3月25日(日)午前10時から富山県視覚障害者福祉センターにおいて平成23年度第3回理事会が開催された。中西美雄会長は、挨拶の中で「昨年10月より、同行援護制度が実施されたので、大いに利用していただきたい」と述べた。
 次いで、平成23年度本部会計・施設会計補正予算(案)及び平成24年度事業計画(案)及び予算(案)について審議が行われ、一部修正の後、承認された。また、今年度より県への要望事項を取りまとめているとの報告があった。
 続いて、午後1時から同所で第2回評議員会が開かれ、中西会長の挨拶の後、平成23年度補正予算(案)、続いて平成24年度事業計画(案)及び予算(案)が審議され、原案通り承認された。また、県への要望事項をまとめているとの報告もあった。
2. 平成24年度第1回理事会及び第1回評議員会
 平成24年5月27日(日)10時から開かれた第1回理事会では、平成23年度事業報告及び決算報告が討議され、決算については一部修正して承認された。また、県への要望事項のまとめ文書が提案され、一部修正の上承認された。
 次いで、午後1時から第1回評議員会が開かれ、平成23年度事業報告・決算報告及び県への要望事項を審議し、原案通り承認された。なお、5月より福祉センターの新職員として採用された、上井美友紀(うわい みゆき)さんの紹介があった。
3. 平成24年度支部長会及び定期会員総会
 平成24年6月17日(日)の午前10時から支部長会が開かれ、県内における同行援護事業の実態及び県への要望事項についての報告。そして総務部から富山県視覚障害者協会・福祉センターのパンフレットを作成中であると説明。その後、各支部から情報交換や意見交換が行われた。
 午後1時からは、平成24年度定期会員総会が開催された。はじめに、中西会長から「昨年10月から実施された同行援護事業は、大変有難い制度であるが、各市町村での実施内容に格差がみられるのは残念である。格差是正に向けて努力していきたい。また、来年2月には、北信越ブロック会議が富山県で開かれるのでご協力をお願いしたい。また、県への要望について本日の総会で決議をいただいて要望書として提出したい」と挨拶があった。
 続いて、職員の作田佳弘(よしひろ)氏に表彰状、小林忠之氏、蓑島幸子氏に感謝状が授与された後、来賓の助野吉昭(すけの よしあき)障害福祉課長(県知事代理)、宮越光寛(みつひろ)衆議院議員、野上浩太郎参議院議員、福田孜(つとむ)県社会福祉協議会長、岡本武勇(ぶゆう)県障害者団体協議会長から祝辞をいただいた。
 次いで、出席者79名、委任状82通を確認し、総会議事に移り、平成23年度事業報告及び決算報告、平成24年度事業計画及び予算(案)について審議が行われ、原案通り可決した。また、富山県への要望事項についても決議された。なお、福祉センターの上井美友紀さんの紹介が総会でも行われた。
 総会終了後、親睦会が開かれ、県内各地から集まった会員は、互いに旧交を温め、語り合いながら親睦を深めた。

◆富山県における同行援護の実態調査
                         副会長 塘添誠次
 障害者自立支援法の一部改正により、平成23年10月1日から重度視覚障害者に対する同行援護サービスが始まりました。この同行援護は、外出時における移動支援と情報処理ないしコミュニケーション支援は一体のものであり、そうした一体的支援を外出保障として全国一律に実施されたものであります。
 しかしながら、全国一律といいながら市町村によってそのサービス内容に格差が生じてきていることに対し、県内における各市町村の実態を把握すべく、平成24年2月から3月上旬にかけてアンケート調査を行い、全ての自治体から回答をいただきました。
 その回答に対し、私たちの思いと異なる点に対する改善のお願いをするために3月19日から23日にかけて県内各市町村自治体障害福祉担当課に出向き(氷見市のみ電話)、話し合いをもたせていただきました。
 そして、その話し合いをふまえ3月末までに訂正や修正の返事をいただきました。以下は、その結果をまとめたものです。

1. 同行援護事業の開始について
① 開始時期については、未実施の舟橋村を除き、平成23年10月1日であった。但し、事業所の事業開始が平成23年11月以降になった自治体が多かった。
② 同行援護事業を開始したことを、利用者(視覚障害者)にどのように周知したかについては、「利用者の個人宛に通知(墨字文書)をした」が富山市・高岡市・射水市・魚津市であり、富山市は「ガイドヘルパー登録者、移動支援利用者、視覚障害者協会(県及び市)」、高岡市は「移動支援利用者の個人宛に通知をした」、射水市は「移動支援事業利用者に案内を送付(平成23年9月)、市視覚障害者協会と打ち合わせ(行政懇談会、平成23年10月)」、魚津市は「移動支援事業利用者(視覚障害者のみ)」という注釈あり。
 「広報誌で知らせた」のは、射水市・魚津市であり、魚津市はホームページに掲載した。
 「福祉のしおりやガイドブックなどに記載した」のは、高岡市・砺波市・滑川市・立山町・入善町・朝日町であり、射水市は「平成24年度に記載予定」という注釈あり。
 「特に何もしていない」のは、氷見市・南砺市・小矢部市・上市町であり、氷見市は「視覚障害者の相談会で案内」、小矢部市は「周知する前に視覚障害者の方々が認知していた」という注釈あり。
2. 手続き及び認定調査について
① 申請書類については、「利用者又はその関係者が来庁し、担当窓口で書類を受け取ることを原則としている」と限定した自治体はなく、また、そのように回答のあった自治体でも「事情を考慮の上、電話による申し込みがあれば書類を送付する」とのことであった。
② 申請書類を代筆してくれる者がいない場合については、全ての自治体が「担当者が代筆する」という回答であった。
③ 申請書類が提出された場合、アセスメント表に基づく聞き取り調査については、「利用者が来庁し、担当窓口で聞き取り調査を行うことを原則としている」は富山市・氷見市、「利用希望者の自宅を担当者が訪問し、聞き取り調査を行う」は射水市・小矢部市・入善町であり、「どちらでもよい・利用者の希望を優先する」は南砺市・砺波市・黒部市・朝日町であった。また、「前者という回答であったが、後者でも対応する」は高岡市・滑川市・魚津市・立山町・上市町・舟橋村であった。
3. 支給量について
① 1ヶ月あたりの支給量を「一律にしている」のは射水市の50時間と立山町の10時間であり、いずれも利用者のニーズに応じて支給量は増やせる。
② 射水市と立山町を除く他の自治体は、「利用者のニーズに応じて支給量を決定」しており、1ヶ月あたりの利用量に上限が「ない」自治体は、南砺市・小矢部市・黒部市・朝日町・入善町であった。また、1ヶ月あたりの利用量に上限が「ある」自治体は、富山市・高岡市・氷見市・滑川市・魚津市・上市町であり、その内、富山市を除き他は「50時間または国庫負担基準」であった。
 富山市は「基本支給量は、月8時間としているが、利用者の希望や目的を勘案し、月30時間まで変更することができる」としており、氷見市は「原則月20時間で、それ以上必要があればニーズに応じて支給量を決定している」としている。
③ 「利用者のニーズに応じて支給量を決定している」自治体の「最も多い利用者の1ヶ月あたりの支給量」は、富山市28時間、高岡市20時間、氷見市30時間、砺波市25時間、小矢部市50時間、魚津市30時間、上市町16時間、朝日町50時間、入善町15時間であり、「最も少ない利用者の1ヶ月あたりの支給量」は、富山市8時間、高岡市5時間、氷見市4時間、砺波市25時間、小矢部市50時間、魚津市5時間、朝日町20時間、入善町15時間であった。
④ 利用者が支給量を超過して利用した場合については、「事情を考慮し、支給量の超過を認める」のは、富山市・高岡市・南砺市・砺波市・小矢部市・滑川市・黒部市・朝日町・入善町であり、富山市は「緊急性や利用目的などを勘案し、超過を認める場合がある」、砺波市は「事前に計画され市に報告して必要と認められれば認めるが、報告がない場合は自己負担を求める」、入善町は「事前に要相談」としている。
 一方、「事情にかかわらず超過した分は、利用者の全額負担とする」のは、射水市・氷見市・魚津市・立山町・上市町・朝日町であったが、射水市は「事前に相談いただければ支給量を増やすことができます。相談なく支給量を超過した場合は、自己負担になります」、氷見市は「超過する前に相談していただければ認めることもありうる」、魚津市は「事前に支給量を超過した場合の説明を行い、余裕をもって支給決定している」、朝日町は「事情により検討」という注釈あり。
4. 利用目的について
 国はこの同行援護が受けられないサービスとして、「通勤・通学・通所」などとしており、通院や日常的な外出である社会参加や余暇活動は利用できるとしている。にもかかわらず、利用目的に制限を設けているのは以下の通りである。
① 「通院及び病院内」については、富山市と魚津市が△であり、富山市は「外出目的が通院のみの場合は、“通院等介助”や“介護保険”でのサービス利用が優先になる場合あり」、魚津市は「利用目的により“通院等介助”の方が適切である場合は利用できない」としている。
② 「定期的に通う習い事や余暇活動」については、魚津市は利用できない。富山市と砺波市が△であり、いずれも「通年かつ長期に渡る場合は認められない」としている。
③ 「選挙投票」については、富山市と魚津市が△であり、富山市は「投票所内は、投票事務従事者が対応するため除く」、魚津市は「投票所内での支援はできない(その場所までの行き帰りの支援は可能)」としている。
④ 「会議や講習会・講演会」については、砺波市が△であり、「経済活動を伴うものや通年かつ長期に渡る外出は認めていない」としている。
 なお、「日常の買物」「スポーツ観戦」「コンサートや映画」「飲食を伴う外出」「冠婚葬祭」「お墓参りや日曜礼拝」「銀行や郵便局」「散歩や運動」については、全ての自治体が利用可能としている。
5. 実際の利用について
① 利用する日の何日前までに申し出なければならないかについては、1日前が高岡市、2日前が氷見市、3日前が入善町、7日前が滑川市・立山町・上市町、10日前が南砺市であり、回答がなかったのは富山市・射水市であった。なお、分からないとの回答は黒部市であった。
② 事情に応じて即時対応ができるか否かについては、概ね全ての自治体が「即時対応はできる」としているが、「事業所の対応による・事情による」という注釈あり。
③ 「宿泊を伴う利用」については、「利用できない」のは、立山町であったが、「対応できるサービス事業所があれば検討する」。上市町は「検討中」。他は「利用できる」という回答であったが、高岡市は「事業所での対応が可能であれば可」、氷見市は「目的にもよるので、事前に相談していただく必要あり」、砺波市は「事業所が可能であれば検討するが、現在そのようなケースがないため想定していない。今後、そのようなケースが出てくれば必要性を確認し、決定を行う」としている。
④ 晴眼者と同居している利用者が、同行援護サービスを受けることについては、全ての自治体が、晴眼者の都合とは関係なく利用できるということであった。
⑤ ガイドヘルパーが運転する車での移動サービスが受けられるか否かについては、「受けられる」は高岡市・南砺市・小矢部市であったが、高岡市は「事業所による(つばさ21を利用する場合は可)」、南砺市は「事業所によりできない所もあります」という注釈あり。また、砺波市は「事業所の状況次第と考える」、滑川市は「特に定めはなく、状況により判断する」としている。
⑥ 同行援護は自宅からではなく、目的地での利用は可能であるか否かについては、「県内のみ可能」は高岡市、立山町は「ニーズがあれば検討する」、上市町は「検討中」であり、他の自治体は「県内・県外にかかわらず可能」であった。しかし、魚津市は「事業所の対応による」、黒部市は「1日で用務を終えるものとする」としている。
6. 同行援護登録者数及び登録事業所について
① 平成24年3月末現在の同行援護の登録者数は、富山市34人、高岡市14人、射水市・氷見市7人、小矢部市・魚津市・立山町・朝日町4人、上市町・入善町2人、南砺市・砺波市1人、滑川市・黒部市・舟橋村0人で、合計84人であった。
② 平成24年4月末現在の同行援護の登録事業所数は26箇所であるが、同行援護の行えるガイドヘルパーの正確な数は把握できなかった。

 以上が県内における同行援護の実態調査の結果ですが、これを各市町村別に問題点あるいは今後改善が望まれる点をまとめると、次のようになります。
●富山市
1. 申請書類が提出された場合、アセスメント表に基づく聞き取り調査は利用者が来庁し、担当窓口で聞き取り調査を行うことを原則としていること。
2. 1ヶ月あたりの支給量は基本的に8時間としており、利用者の希望や目的を勘案し増やせるが、上限を30時間までとしていること。
3. 同行援護が受けられないサービスとして以下の項目に△がついていること。
① 通院及び病院内…外出目的が通院のみの場合は、通院等介助や介護保険でのサービス利用が優先になる場合あり。
② 定期的に通う習い事や余暇活動…通年かつ長期に渡る場合は認められない。
③ 選挙投票…投票所内は、投票事務従事者が対応するため除く。
●高岡市
1. 1ヶ月あたりの利用量の上限を50時間としていること。
2. 1ヶ月あたりの支給量が最も多い利用者で20時間、最も少ない利用者が5時間であること。
●氷見市
1. 申請書類が提出された場合、アセスメント表に基づく聞き取り調査は利用者が来庁し、担当窓口で聞き取り調査を行うことを原則としていること。
2. 1ヶ月あたりの利用量の上限を50時間としていること。
3. 1ヶ月あたりの支給量を原則20時間としており、1ヶ月あたりの支給量の最も多い利用者で30時間、最も少ない利用者が4時間であること。
4. ガイドヘルパーが運転する車での移動サービスが受けられないこと。
●砺波市
1. 支給量を障害程度区分に基づいて算出しており(市の理解不足)、1ヶ月あたりの利用量の上限を、身体介護を伴わない場合、区分5・6は月30時間、3・4は月25時間、1・2は20時間としていること。但し、「上限は設けてあるが、個別の状況によって必要と認められれば基準量を超えて決定する場合もある」という注釈あり。
2. 同行援護が受けられないサービスとして以下の項目に△がついていること。
① 会議や講習会・講演会
② 定期的に通う習い事や余暇活動 「△は、経済活動を伴うものや通年かつ長期に渡る外出は認めていない」という注釈あり。
●滑川市
1. 1ヶ月あたりの利用量の上限を50時間としていること。
●魚津市
1. 1ヶ月あたりの利用量の上限を50時間としていること。
2. 同行援護が受けられないサービスに以下のものがあること。
① 通院及び病院内…利用目的により「通院等介助」の方が適切である場合は利用できない。
② 定期的に通う習い事や余暇活動
③ 選挙投票…投票所内での支援はできない(その場所までの行き帰りの支援は可能)。
 なお、①~③については「県に確認中」という注釈あり。
3. ガイドヘルパーが運転する車での移動サービスが受けられないこと。
●黒部市
1. 利用者への周知徹底は、特に何もしていないこと。
2. ガイドヘルパーが運転する車での移動サービスが受けられないこと。
●立山町
1. 1ヶ月あたりの支給量を一律10時間としていること。但し、支給量の増加は「利用者のニーズがあれば検討する」という注釈あり。
2. 支給量を超過して利用した場合は、事情にかかわらず超過した分は、利用者の全額負担とすること。
3. ガイドヘルパーが運転する車での移動サービスが受けられないこと。
●上市町
1. 1ヶ月あたりの利用量に「国庫負担基準による」という上限があること。
2. 宿泊を伴う利用は不可能であること。
3. 「同行援護は、自宅からではなく、目的地での利用は可能ですか」という質問に対し、検討中と結論を出していないこと。
4. 利用者への周知徹底は、特に何もしていないこと。
5. ガイドヘルパーが運転する車での移動サービスが受けられないこと。
●射水市・朝日町・入善町
1. ガイドヘルパーが運転する車での移動サービスが受けられないこと。
●南砺市・小矢部市
1. 利用者への周知徹底は、特に何もしていないこと。
●舟橋村
1. 対象者はなく、未実施であり、「質問5」以下の回答がなかった。訪問し、説明を行ったが新たな回答は得られなかった。

 以上が同行援護の実態調査報告ですが、この同行援護は私たち視覚障害者にとって大変ありがたい画期的なサービスです。
 私は、どこかに行きたいときはガイドヘルパーによる同行援護を利用し、家事援助をお願いしたいときはホームヘルパーを利用するというふうに使い分けを簡単に考えられるようになればよいと思います。
 そのためには、少なくとも利用目的に制限を加えている自治体がありますので、それらが一刻も早く解消されることが望まれるところであります。
 そして、大いに同行援護を利用して外出し、社会参加しましょう。参加する中で支給量が足りなくなったら増やしていただけるように互いに努力しましょう。

《報告事項》
◆富山県民福祉推進会議「福祉のまちづくり宣言」
                          会長 中西美雄
 さる7月18日(水)に「富山県総合福祉センター・サンシップとやま」において、富山県民福祉推進協議会が開催されました。
 この会は、県内から福祉関係団体の代表や、報道機関代表、銀行、行政の代表など62名で構成された、富山県の福祉をどう推進しようかということについて議論する会です。
 協議会全体の内容は省略することにしまして、全員一致で承諾されました決議文を紹介したいと思います。これは、各団体において機関誌などにより県民に周知してほしいという要望を踏まえて掲載するものです。一読の上ご理解いただきますようお願いいたします。
【本文】
 急激な少子・高齢化や核家族化などに加え、単身世帯や高齢者のみの世帯が増えるなど、私たちを取り巻く福祉環境は、複雑多様化してきています。
 また、地震や津波、台風など自然災害等に日頃から備え、地域の中で互いに支え合う取り組みもこれまで以上に必要となってきています。
 このような中で、高齢者、障害者を含むすべての県民が安心して暮らせる地域社会を形成するためには、県民一人ひとりが互いに支えあい、協働しながら一体となって、ハード・ソフト両面における「福祉のまちづくり」に一層取り組むことが求められます。
 私たちは、思いやりの心を育み、自立と社会参加に努め、県民総参加の福祉社会の実現を目指すことを決意し、次のとおり、人にやさしい安全で安心な「福祉のまちづくり」を推進することを宣言します。

1.心身の障害や加齢等による認知症などに対する誤解や先入観の排除など、心のバリアフリー化の推進
2.様々な障害に対応した情報環境の整備など、情報のバリアフリー化の推進
3.建築物、公共交通機関、道路等生活環境のバリアフリー化の推進
4.県民誰もが自由に社会参加できるためのユニバーサルデザインの普及推進
5.自治会、自主防災・防犯組織等との連携、地域住民、福祉関係者等との協働による安全で安心なまちづくり活動の推進
                      平成24年 7月18日
                      富山県民福祉推進会議

《みんなの広場》
◆日盲連〈千葉大会〉旅行日記
                         富山市 小林忠之
 2012年(平成24年)6月8日、9日、10日
 【祇園精舎の鐘の音 諸行無常の響きあり】
(ぎおんしょうじゃの かねのおと しょぎょうむじょうの ひびきあり)
 祇園:インドのお釈迦様の法を聞いて感激した金持ちの人と、絶対売りたくないといった地主の名前の頭文字です。
 精舎:日本では寺にあたり、法を説き、法を聞く人の間に悟りを開く目的の場所。祈ったり、お守りの札を売るところではありません。
 諸行無常:お釈迦様が語るに、「ありとあらゆるすべてのものは、因縁」。「因」は物の直接の条件、もとになるところ。「縁」は「何々によって」「よる」という意味の間接の条件。
 今度の「因」、直接条件である旅行に行くという身体も、契約したときは旅行に行けると思っていたが、亡くなられた人、病気で行けない人、間接の条件によって旅行を断念しなければならない人もありました。私も契約する頃はお金がなくて今年は行けないと思っていたが、何とか条件が揃って旅行へどうやらこうやら行ってきました。
 すべてのものは、「因」直接条件と、「縁」間接条件によって、物質(肉体や性体(しょうたい))は常に生滅(しょうめつ)変化を繰り返す。移り変わっていくも、一時も止まることはありません。これがものの性体です。これを「諸法(しょほう)」、諸々のありとあらゆるものは「無我」。意味は、すべてのものは「因」と「縁」によって、生滅変化を繰り返して、止まるところがないから、ものの実体はないし、また自らの「性(しょう)」もないという。そこには固有なものの考え方をはさむところはありません。
 我々が日常考えている霊魂や魂、あるいは心という固有なものがあるように思いますが、目・耳・鼻・舌、身体の持っている皮膚を通して、これら諸々の条件によって仮に心が動くにすぎません。心という特別の固有のものがあるわけではありません。
 また心を機、テコが重たい石を動かすときに、棒の下に石を置いて、反対のところを押すと、重たい石も動くように、心も条件によって動くにすぎないのです。すべての物質は身体も心もあるようでない、仮の状態の姿にすぎません。
 これを夢、幻、蜃気楼、陽炎、泡と言っています。蜃気楼は、遠いところから見ると向こうに景色があるように見えますが、近くで見ると何もないように。
 今度の旅行も企画によって、お金の条件、身体の条件、心の条件、その時の条件によって、行ける人、行けない人にすぎないのです。
 ギリシャの哲学者であるソクラテスは、「汝、自身を知れ」(人間は何か知っているつもりであるが、真実の本当の姿は無知なのだ)と言っています。汝(なんじ)(あなた)は、自身(自分)をよく考えてみると、善悪の知り顔をしたり、是非(正しい・間違っている)を知っているような顔をして決めつけたり、固定的にものを考えていることに気づかされます。
 人間は何か知っているようなつもりですが、真実のものの有り様は「無知」。ソクラテスは「無知」とはっきり言っています。知ることができないのが本当ではないか、と自覚されるところです。これはお釈迦様とほぼ同じような考え方であると思います。

☆6月8日
 名鉄観光の企画。加越能観光バスの運転手は田中さん、ガイドさんは伊藤さん、添乗員さんはいつもの河原さんに代わり、寺沢さん。先の3人を除いた27人を乗せて、初夏の緑いっぱいの北関東・上州(群馬県)に向かって車は走ります。バスの中ではビールやコーヒーを飲んだり、隣の席からはお菓子をいただきました。
 山内さんから、親知らず・子知らずの岸壁からはみ出たように造られた高速道路を支える柱についての説明がありました。「プレスト工法」。コンクリートの柱の中に入る鉄筋(ピアノ線)、鋼(はがね)のようなピアノ線を編み込むように、ぐるぐると回して遠心力をもって、そこにコンクリートを流して、固まったところで端っこを切り離す。このピアノ線が縮もうとする性質を利用して、コンクリートの柱を強くするという方法だそうです。このような話を聞きながら、いつの間にか、花火で有名な長岡へ。
 ガイドさんの説明に、戦争に関わる人物として必ず出てくる山本五十六の言葉、「やってみせ、言って聞かせてさせてみせ、誉めてやらねば人は動かぬ」。父親が56歳のときに五十六が生まれたことから名づけられたとか。生まれたときは、山本の姓ではなく、養子に行って山本を名乗ったという。若い時にアメリカ留学し、先生や友達もいたことから、お世話になったアメリカと戦争(真珠湾攻撃)の時には、上に立つ立場としての悩み、苦しみが、長岡の友達に送った達筆な字で書かれた手紙に残っているそうです。
 越後湯沢から上州に抜ける谷川岳(たにがわだけ)の下をくぐる、長い関越トンネル(約11キロ)を抜けた先は、「からっ風とかかあ天下(でんか)」で有名な上州・群馬県です。関東を縦断する利根川を横に見ながら、蒟蒻のイモ畑、蚕の桑の木を抜けて、群馬・栃木・埼玉・千葉・茨城へ。坂東(ばんどう)33カ所観音霊場の一つ、五徳山(ごとくさん)水澤(みずさわ)観音(かんのん)でお参りもそこそこにして、コシの強い水澤うどんをお昼に頂きました(昔の書物には、桶でうどん粉をこね、女の人が裾をまくり足で踏んでいる姿が描かれている)。
 有名なうどんだけに、のどごしもよく大変美味しかった。しかし、私はうどんを食べるのは特に下手です。長いうどんを外にこぼし、しまいには手でつまんで中へ入れてまた食べるという、食べるのが下手な私です。でも非常においしかった。
 昼食が終わりバスに乗ったのは3時頃。埼玉の新都心と東京の街並みを複雑に越えながら、目の見える人はバスの窓からスカイツリーの骨組みや明かりを見ながら、1日目の宿「ホテルエミオン東京ベイ」へ、ディズニーランドに関係のある宿かと思います。
 22階建ての14階の部屋、ゆっくり休む間もなく、バスで「功徳林(こうとくりん)」という宴会場へ入りました。山内さんからいろんな説明があり、次に中西会長の挨拶。萩中先生の乾杯の音頭により宴会が始まり、塘添さんの筋金入りの詩吟や参加者のカラオケで楽しむうちに夜が更けていったのであります。
☆6月9日
 バスの中では、ディズニーランドのドナルドダックの誕生日の話。「ぬいぐるみと言っちゃいけない。ディズニーランドは夢の国だから、ドナルドダックと言わなきゃならない」。そこで飛んで出たのは山内さん「ドナルドダックはあひるだから、それを見に行く私たちはカモだな」。バスの中は笑いで盛り上がり、ガイドさんからは「今日は、座布団三枚」という言葉を頂戴しました。そういった盛り上がりの中で会場の「アパホテル&リゾート」に入りました。
 千葉市視覚障害者協会岡田会長の、「北は北海道から南は沖縄までようこそ。第65回全国盲人福祉大会千葉大会の開会の宣言を致します」に始まり、千葉県視覚障害者協会小林会長の歓迎の挨拶、「昨年の3月11日の時に千葉も大きな被害があり、皆さんからの後押しをいただいた」ことへのお礼、障害者権利条約の山場を迎えていることや自立支援についての話もありました…。
 次に、主催者代表社会福祉法人日本盲人会連合・竹下会長(今までは笹川会長)の挨拶。
 「第65回全国盲人福祉大会、65回を重ねてきました。昭和23年(1948年)に日盲連が結成されてからこの歴史が日本の社会において視覚障害者の生きやすい社会を築く礎になったことは間違いありません。61歳の私が会長職を引き受けた限りは、全力を尽くして全国の視覚障害者が住みやすい日本をつくります。今までは日本が欧米に倣え、見習えときましたが、もはや日本は世界に誇る福祉国家であります。この私が宣言します。そういう日本になってきたと私は思います。65回という歴史は極めて重要だと思います。65回の大会を重ねる中で私たちの願いが数多く実現してきました。とりわけこの一年間を考えてみますと、昨年の3月11日に大災害が起こった時、全国の皆さんから義捐金が送られてきました。5千万円以上の義捐金を災害者、視覚障害者の皆さんへ支援してきました。これで止まることなく、ますます支援活動をしていくことこそ日盲連の存在価値なのであります。これらのことを含めて視覚障害者の生きやすい国づくりとはどういうことなのか、私たち日盲連も考え、行政や国へこれからも働きかけていきたいと思います。私は弁護士という職業柄、よく外国へ行きます。マッサージ・はり・灸の職を通して、研究されていることは、世界中で日本だけがずば抜けて発展しているのであります。このことをよく皆さんに認識していただきたいと思います…」
 日盲連からお願いをした祝辞は、厚生大臣、千葉県知事。特に視覚障害者の団体として厚生大臣が代理で祝辞をされたことは、非常に心の中で寂しく空しい言葉として聞こえてきました。どんな素晴らしい言葉であっても本人自身が出席されて「みなさん、元気ですか」という言葉がほしかったように思います。
 また千葉県の森田健作知事も自ら出席されて、元気な声を聞きたかった。森田健作はよくテレビに出ていたという。テレビに出ている割に、こういった視覚障害者にとって大事な大会に、出席できない理由はわからないので、あれこれいうことができませんが、元気な声が聞きたかったです。これが私の愚痴です。
 名前はちょっとわかりませんが、参議院の方で、自ら出席され、生の声で「視覚障害者の同行援護、移動支援についての地域格差のないように、私たちはこれからまた頑張りますから、皆さんも自立されてしっかりやってください」と元気をいただきました。
 大会終了後、千葉市の中心にある「割烹 早坂(はやさか)」で、木更津産の貝や魚、海づくしの食事をいただきました。ここを出ると、長い利根川に沿ってバスは走りました。
 利根川はススキの多いところで、潮来のススキが風光明媚にし、船頭小唄が生まれたことでも有名です。まだ、アヤメや菖蒲(しょうぶ)が利根川を美しく飾っていました。利根川流域の湿地帯を、「サッパ舟」(笹の葉のような形をした小さい舟)で、年配の女の人が竿を操り、観光客5、6人乗せて、船頭さんの語り口や美しい歌を聞きながら利根川を行き来する風景も素晴らしいです。
 香取神宮の裏の道を、バスは銚子電鉄の停留所である犬吠埼(いぬぼうさき)灯台へ向けて走ります。かなり長い時間バスに乗ったような気がします。銚子電鉄は約6㎞半くらいの短い距離で、電車は赤と薄茶色のツートンカラーの電車だそうです。
 この電車も赤字経営で、銚子電鉄を閉じようとしたときに、皆さんの声で、銚子にもともとあった「ぬれ煎餅」を、犬吠埼駅の中で「ぬれ煎餅体験」をしたところ、非常に好評で経営も成り立ったそうです。私たちもぬれ煎餅の体験をしました。具材はもち米の粉でないかと思います。焼いたところに「ヤマサ醤油」のタレをつけて、からからでなく、そのまま包み込む柔らかい煎餅です。
 雨の降る中、犬吠埼展望台へ。ここから太平洋を臨むと地球が丸く見えるという有名な犬吠埼へ向かいましたが、雨の関係で、夕方であることから、そこそこで帰ることにしました。
 2日目の宿は、「磯屋(いそや)」の予定でしたが、栄えたときもあったのでしょうが、夢、まぼろし、泡のように、世の移り変わり、初めに述べたように「諸行無常、諸法無我」の道理により、いろんな条件によってその宿屋も私たちが泊まることはできなくなった。その代りとして「犬吠埼ホテル」という立派なホテルに宿を取り、疲れた体をお湯につかり、一夜の眠りに着きました。
☆6月10日
 朝、犬吠埼ホテルの前で記念写真を撮り、犬吠埼灯台へと車は進みます。この灯台は銚子の犬吠埼岸壁の先端、地図でいうと尖がったところ(海抜52m)に建っています。高さは31m余り、全体の姿は白い灯台です。ガイドさんの話では大正7年、もう一人の話では明治7年という話もあり、どちらが本当かはわかりません。
 第一級灯台で、日本では6灯の灯台があるそうです。レンズも一級で「フレネル式灯台」、灯りは15秒間隔で点いたり消えたりします。レンズを通して光が走る距離は19.5海里(36km)の遠くまで光が届き、霧の時は霧笛のボウボウという音で灯台の位置を知らせます。京都の経ケ岬(きょうがみさき)灯台、高知県の室戸岬(むろとみさき)灯台、島根県の日御碕(ひのみさき)灯台、山口県下関角島(つのしま)灯台、九州・福岡県沖の島灯台、今一つは犬吠埼灯台、この6灯が日本で有名な灯台です。
 萩中先生の誘導で灯台の中へ。中心部は煙突のようにコンクリートの柱で、その柱をめぐる螺旋階段になっており、一段一段、100段ほど上がったところでだんだん狭くなります。くぐって出たところはレンズの少し下、落ちないように手すりがついている。太平洋の海と岩にぶつかる白い波が海鳴りのようにゴオゴオと音を立てた。天気もよく、これこそが太平洋の海を見渡す、地球が丸く見えるところでないかと思います。相変わらず風も強くあたり、帽子が飛ばされそうになりました。もし目が見えたら素晴らしい風景だろうなと思いながら、灯台から降りることにしました。
 銚子の町にあるヤマサ醤油へと車は進みます。千葉県の野田にあるキッコーマンか、銚子にあるヤマサか、という二大醤油のヤマサの工場へ見学に行きました。ヤマサ第一工場、第二工場はタンクがたくさんあり、第三工場はいろんな研究しているところだそうです。ここで初めに申し上げました「諸行無常、諸法無我」の道理である直接条件と間接条件によって、ものが常に変化していくということを思い出しながら、ヤマサ醤油の製造の説明を聞きましょう。
 間接の条件である銚子の町は、夏は比較的涼しく、冬は暖かいそうです。町は三方を海に囲まれ、湿度もそれなりに高く、醤油を作る間接の条件として大事なところです。
 直接の条件である大豆と小麦、塩の三つ。時によって塩がない場合もあります。大豆はタンパク質の中心になり、小麦は醤油の香りを出す大事なところだそうです。塩も入れすぎても具合が悪いし、少なすぎても具合が悪く、無塩醤油というのもありますが、これはまた別として。
 大豆は蒸気で蒸し、小麦は鉄板の上で炒る、これを合わせる。次に種麹(米で作った麹菌)、これも直接の条件として大事なところです。大豆と小麦と種麹と合わせて、一定の温度と湿度で保たれ、蔵に入れて麹菌を発酵させる。また麹菌は各社いろいろあって、ヤマサは昔からの伝統の麹菌を使っているそうです。麹菌は長い間かけて改良に改良を重ねた、第一条件のヤマサ醤油特有の麹菌だそうです。これが第一のポイント。食塩は水に溶かして麹菌と混ぜます。そして大きなタンクへ大豆、小麦、塩に混ぜた麹菌を入れます。これを「もろみ」と言います。6ヶ月ほどかけて麹菌が乳酸菌酵母の菌などでゆっくりと発酵させます。温度や湿度、時間、いろんな酵母菌(豆、小麦、麹などもろもろの発酵する菌)、これも間接的条件。色や香りや味がだんだん複雑にからみあって醤油へ変化していくのです。
 また新鮮な空気を調節しながら入れていくことは、一つの間接条件として大事なところであります。プツプツプツプツと音を立てて発酵するところを見ながら、新鮮な空気を調節していくそうです。これを熟成と言います。程よくできたところで袋に入れ、三日間かけてゆっくり絞ります。しぼり汁を生醤油というそうです。
 工場の広さは東京ドームの4倍ほど。大きくなったのも利根川が非常に関係しています。できた醤油を江戸へ運び、そして江戸から大豆や小麦を運んだ利根川が会社を大きくしたそうです。
 醤油も生き物ですから、長く放っておくと、だんだん変化して不味くなります。だから注意しましょう。醤油の歴史は今から760年ほど前、鎌倉時代に和歌山県にある金山寺(きんざんじ)のお寺で、あるお坊さんが中国から味噌の素である「もろみ」を持ってきて味噌を作った。その味噌を作った残りの汁が醤油となって今日に至っているそうです。
 最後の見学場所は千葉県にある成田山新勝寺(しんしょうじ)、宗派は真言宗智山派(ちさんは)、南無(なむ)大師(だいし)遍照(へんじょう)金剛(こんごう)、特に金剛が大事かと思います。浄土真宗でも金剛の信心と言いますから。形ある世界は善悪、憎悪、価値あるなし、こういった世界は正しいとか間違っているとか条件によって変化してきますから、滅びる場合も栄える時もあります。こういう世界はあてになりませんから、いろんな条件を離れた、因縁の離れた絶対の真実の世界、これは昔も今も絶対変わらないという、絶対の拠り所とするところですから、この金剛は大事かと思います。
 成田山新勝寺は、テレビで2月3日の豆まきで、有名な人が裃を着て豆をまくシーンが毎年のように出るところです。皆さんもよく知っていると思います。ここでお土産に落雁2つと鈴をいただきました。私と家内はこの山門(仁王門と言って不動明王を飾ってあるのではないかと思う。)で皆さんが見学をしているのを待っていました。
 石段を上がっていくとコンクリートの本堂になり、昭和47年に建立されて、本堂の向かって右側に三重塔、1712年建立され、左側に釈迦堂があり、本堂そのものは939年に建立されたそうです。平将門(たいらのまさかど)の悲しい事件によって、京都から不動明王を今の成田山新勝寺へ持ってきて安置し、皆さんの平安を願ったそうです。
 真言宗の一つの特徴は、護摩(ごま)の木を焚く。これは、自分の悩み、苦しみ、厄除けなどを書いて、護摩の木を焚くという祈祷みたい感じです。それが真言宗の特徴になっています。こういったことを昔の弘法大師(こうぼうだいし)がしたかどうかは分かりませんが、今、もし弘法大師がいたらどう思うかとちょっと思うのです。成田山新勝寺近くの「米屋(こめや)観光センター」にてお昼の食事をいただきました。
 ここをもって、長い利根川(新潟県と群馬県の境、谷川岳のある水上(みなかみ)、ここから利根川の源流が流れ流れて銚子の大橋まで約300キロ)をススキやアヤメ、花菖蒲の間を竿で操る女船頭さんの笹舟(サッパ舟)を見ながら、利根川沿いに繰り広げた物語を終わりたいと思います。
 来年は福井大会、条件が揃えばまた行きたいと思います。長い間、どうもありがとうございました。

《事務局から》
◆消息 訃報
  水岡(みずおか) 喜代美(きよみ) 氏(富山市) 1月 逝去
  高木(たかぎ) 咲子(さきこ) 氏(射水市) 1月 逝去
  白木(しらき) 榮一(えいいち) 氏(富山市) 1月 逝去
  野原(のはら)  實(みのる)  氏(南砺市) 2月 逝去
  横井(よこい) 明光(あきみつ) 氏(富山市) 3月 逝去
  蓑島(みのしま) 幹雄(みきお) 氏(富山市) 4月 逝去
  辻井(つじい) 信子(のぶこ) 氏(黒部市) 4月 逝去
  庄司(しょうじ) 憲蔵(けんぞう) 氏(富山市) 5月 逝去
  菊(きく) 茂雄(しげお) 氏(富山市) 5月 逝去
 ご冥福をお祈りいたします。

◆時事暦(1月~6月)
2月18日(土)・19日(日) 「平成23年度日盲連北信越ブロック会議」開催
 (石川県 湯涌温泉「かなや」)。代表者会議、青年部協議会、女性部協議会・研修会、スポーツ担当者会議が開かれ、総勢約110名、当協会から21名参加
3月25日(日) 午前 理事会、午後 評議員会を開催
4月22日(日) 第12回富山県障害者スポーツ大会〔水泳競技〕(東富山温水プール)
5月9日(水) 「同行援護に関するアンケート調査結果報告会」をセンター研修室において開催。
 20数名の会員出席。マスコミの関心も高く、テレビ局・新聞数社から取材を受ける。
5月13日(日) 第12回富山県障害者スポーツ大会〔陸上競技〕(県総合運動公園陸上競技場)
5月19日(土)・20日(日) 「第39回北信越グランドソフトボール大会」が長野県で開催される。
 富山県から19名参加。結果は、1位 長野県、2位 石川県、3位 富山県
5月27日(日) 午前10時 平成24年度第1回理事会、午後1時 第1回評議員会を開催
6月7日(木)~9日(土) 「第65回全国盲人福祉大会〈千葉大会〉」が開催され、富山県から総勢30名参加
6月13日(水) 富山県総合福祉会館において、平成24年度点訳(6名)・音訳(14名)奉仕員養成講習会開講式を開催
6月17日(日) 午前10時 支部長会、午後1時 平成24年度定期会員総会を開催。
 会員79名・委任状82通。表彰状(作田職員)、感謝状(蓑島幸子さん・小林忠之さん)の贈呈。

◆平成24年度後期の主な行事予定
7月1日(日) ボランティアと利用者交流会「富山県広域消防防災センター 四季防災館・体育文化センター」
7月15日(日) センタークリーン作戦
8月19日(日) 第38回富山県視覚障害者球技大会〔グランドソフトボール・サウンドテーブルテニス〕(南部中学・センター)
8月29日(水)~31日(金) 第58回全国盲女性研修大会(大阪市)
9月15日(土)・16日(日) 宿泊研修〔視覚障害者と家族激励大会・山岳歩行訓練・研修会〕(下新川郡)
9月21日(金)~23日(日) 第58回全国盲青年研修大会(神戸市)
9月23日(日) 第12回富山県障害者スポーツ大会〔フライングディスク競技会〕(県総合運動公園)
9月30日(日) 第36回視覚障害者文化祭・福祉機器展
9月     出会いと語らいの集い
9月末    会報「ゆきしろ」第66号発刊
10月8日(月) とやまふれあいフェスティバル
10月13日(土)・14日(日) 第21回北信越サウンドテーブルテニス大会(福井県)
10月13日(土)~15日(月) 第12回全国障害者スポーツ大会(岐阜県)
10月21日(日) 第61回点字競技会・第13回パソコン競技会
10月28日(日)  タンデム自転車体験会(県障害者スポーツ活動活性化事業)
11月4日(日) 第12回富山県障害者スポーツ大会〔卓球競技〕(県総合体育センター)
11月18日(日) 三療研修会(センター)
12月2日(日) 更生相談会、意見交換会、結婚相談室(センター)
12月3日(月)~9日(日) 障害者週間
― 平成25年 ―
2月16日(土)・17日(日) 北信越ブロック会議 代表者会議・青年部協議会・女性部協議会
       (富山県 いこいの村 磯波風)
3月24日(日) 理事会、評議員会(センター)
3月末   会報「ゆきしろ」第67号発刊

◆《編集後記》
                      文化部 部長 上坂敏彦
 この夏は猛暑つづきで暑く、節電によりエアコン設定温を上げて暑く、その上、睡眠を削ってオリンピック観戦にも熱く、体調崩された方いらっしゃらなかったでしょうか?
 さて、国の制度である「同行援護」、市町村によって違いがあるのは本来おかしいです。 が、まずは利用して、使いやすいようにみんなで、声を出して変えていきましょう!
 そして、出かけたことや感想、ご意見など、お送り下さい。 お待ちしています。「ゆきしろ」は、みなさんの手で作られております。


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